新巡礼!三界を巡る「甦りの道」
現世にいながら三界を巡る、紀伊半島「甦りの道」巡礼。死後間もない精霊にも、すでに浄土への往生を果たしている先祖の神霊にも会うことができる。関西空港からであれば自動車で全10時間強の行程。強行日程なら1泊、余裕を持たせるなら2泊が望ましい。
瀧谷不動明王寺(関空から1時間)
日本三不動のひとつ。まずは三界全てを統摂する不動明王に道中の安全祈願、現世への無事の帰還を祈念する。
毎日護摩祈祷が執り行われており当日の参座も可能。
高野山(滝谷から1時間30分)
高野山は現世の衆生界と精霊の住まう菩薩界(弥勒菩薩の兜率天)とを隔てる第一の結界。ここで精霊供養の法要も行うのであれば、奥之院燈籠堂か、宿坊であれば山内で唯一、弥勒菩薩を本尊とする一乗院がおすすめ。自らの有縁の精霊をこの弥勒菩薩に仮託して回向するのがよい。
そして東南の陣ケ峰の結界を越えればそこは精霊界、黄泉の国である。ここからの雲海を眺めたければ高野山内で一泊し早朝に出発する。
大峯山系と護摩壇山系に囲まれるこの雲海の下、天の川~十津川~熊野川流域が精霊界。清流が精霊たちの欲念を浄化し、やがて浄土に通じる大海原へと導いていく。
熊野速玉大社(高野山から3時間)
熊野灘が菩薩界と如来界とを隔てる第二の結界である。欲念の浄化が済み大欲を感得した精霊は「甦りの神」、速玉大神に迎えられついに神霊となって浄土への往生を果たす。
瀧原宮(新宮から1時間30分)
浄土往生を果たした神霊たちは、時に観音菩薩としてこの現世に舞い戻り我々衆生を救済する(還相回向)。そしてその救済の恵みは、新たな生命の創出として顕現するのである。この星の生命の源は「太陽」と「水」。神霊の住まう浄土に通じる熊野灘の湿った空気を吸い込んだ雨雲は、日の昇る東から大台ケ原に吹き付け多量の雨となって地上に舞い戻る。東紀州は日本一の多雨地帯である。この水が流れる宮川の中流に鎮座する元伊勢、瀧原宮は太陽神(邇芸速日)と水神(瀬織津姫)とを夫婦神として並祀する原始の信仰形態が今も受け継がれており、天照大御神の「皇祖神」としての性格よりも、生命の源として太陽と水とを崇拝する原始神道の世界観をより感じることができる。この瀧原宮への参拝を以て、神霊界から衆生界への帰還とする。
瀧谷不動明王寺(滝原から2時間30分)
最後に再度、瀧谷不動に参拝して無事の帰還に謝意を表する。
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