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【前編】複業人材と併走して行うまちづくり。受け入れ担当の職員が感じた成果&心境の変化とは?

コロナ禍によりリモートワークが普及したことで、複業の波が加速しました。物理的な距離という壁が取り払われた今、民間企業だけでなく地方自治体においても複業人材の登用が進んでいます。

そこで実際に複業人材登用を担当された自治体の職員様にお話を伺い、取り組みの内容や登用してどう町が変わったのか、生の声をお聞きします!

今回は埼玉県横瀬町まち経営課の田端将伸さんと、滋賀県守山市都市経済部地域振興課係長の杉本悠太さんにお話を伺いました!

埼玉県横瀬町では、2020年12月から2021年3月までの4ヶ月実施し、滋賀県守山市は現在プロジェクト期間中で、2021年8月から12月末までの約5ヶ月間実施されます。

▼横瀬町との取り組みについてはこちら

▼守山市との取り組みについてはこちら

地域課題を解決するため、複業人材を公募

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ーー複業人材を登用しようと前向きに考えていただいたきっかけを教えてください!

田端:横瀬町には「よこらぼ」という官民連携のプラットフォームがあり、民間企業さんが自治体とまちづくりの実践や実証試験に挑戦できるフィールドを提供しています。

その「よこらぼ」でAnother works さんから提案いただいたことがきっかけです。ニーズがあるのか、お互いにとってwin-winな関係になるのか、そのあたりは未知なる世界でした。しかし審査会で丁寧に説明してくださったことで安心し、積極的に取り組めると確信しました。

また、横瀬町の場合はいろいろな課題があるので、それぞれの課題に対して複業人材の公募をしてみましょうよ、という言葉をかけていただいたことが採択した大きな理由です。

杉本:守山市では「起業家の集まるまち」を作りたいというビジョンがあります。このビジョンを実現させるためには、なるべく民間側、起業家側と同じ土俵に立てる外部の人間が必要不可欠です。

しかし僕自身、起業経験がなく滋賀県から出たこともない。外からの客観的な意見をくれるアドバイザーが欲しいと思っていたところ、複業人材登用という選択がマッチしたんです。

ーーそれぞれの自治体によって課題が違いますね。公募した人材も異なってくると思うのですが、実際にどのような人材を登用しましたか?

田端:3職種で公募しました。まずはコロナ禍においてこれからの国際交流事業を子どもたちにどう提供していくかという課題があったので、小中学生の国際交流のイベントを企画・提案していただける方。

2つ目は、公共交通の手段をコミュニティバスからデマンドタクシーへと移行するタイミングがあったので、その認知を広げるためのチラシのデザイナーを募集しました。

3つ目は、本町が力を入れている町民の健康課題改善のために現状を分析するエンジニアを公募しました。

杉本:守山市は、地方創生の柱の一つに「起業家の集まるまち」をキーワードとするなか、起業家の集まるまちづくりの実現に向けた官民連携プロジェクトを掲げ、事業アドバイザーの方が2名、マーケティングアドバイザー、広報PRアドバイザーにおいてそれぞれ1名ずつ登用しました。

複業人材を登用して感じたまちの変化

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ーー横瀬町では実証実験の期間が終了しましたが、どのような成果が得られましたか?

田端:国際交流のイベント企画については、コロナ禍で密に話ができずまだアウトプットがない状態で止まっていますが、参画してくださっている方とはいい関係が築けています。

デザイナーの方は、チラシを作成していただいて引き継ぎもスムーズに行ってくださりました。チラシのおかげで、デマンドタクシーに移行してからクレーム等の問い合わせが想像以上に少なかったです。

山上さんというエンジニアの方には、データから横瀬町の健康課題を分析していただき、プロジェクト終了後はこちらからきちんと発注して事業を継続していただいています。

1つのプロジェクトをそれぞれの方にお任せしたことで、みなさん責任感をもって取り組んでくださりました。

守山市はまだプロジェクトが始まってから2ヶ月という段階ですが、現時点で複業人材登用をしてよかった点と課題だなと感じている点はございますか?

杉本:1週間に1時間のミーティングの中でも、課題が明確になるところがとてもよかったです。今はどうしたら起業家が集まってくる町になるのかという過程を考えているのですが、4人の複業人材の方と壁打ちする中で、少しずつですが見えてくる実感があります。

たとえば、行政内ではマーケティングという概念が重要視されにくく、政策の対象と想定される課題や解決策を設定してしまいがちです。

しかし、複業人材の方と「これってどうなんですか」「これはこう思っているのかもしれないけど、実際はこうなんだよ」とやりとりを行っていくうちに、都市部と地方との考え方や行政の政策と起業家側の考え方のギャップにも日々気づきがあり、言語化するなかで自身の課題も明確になっていくなど、課題・解決策を発見するためにはこういう過程が必要なんだと学ぶことができました。

課題だと感じる点は、複業人材の方からの質問や提案を検証・調整するにあたり、自己啓発はもちろん、業務時間外にも考えることが多くて。他の職員、分野に広げていきたいと感じる一方、民間人材と協働するにはまだまだ行政側の知識・スキルの不足、伴走する体制の遅れを感じています。



田端:時間やお金にとらわれずに、町のアウトプットを作るために一生懸命に考えてくれる人がいるので、杉本さんのように受け入れを担当する職員はきちんと伴走しないといけませんよね。

守山市とは違い、横瀬町では職員の役割がそれぞれに分かれていました。私たちはあくまで窓口で、実際は事業課が複業人材と併走してくれていました。そのため先ほどお話しした山上さんがプロジェクト終了後に契約したという話も後で聞いたんです。

契約を担当してくれた職員は「やっぱりこの人いいな、この人安心できるな、一緒にやりたいな」と思ってくれたんですよ。行政と契約するのはいろいろと手続きがあり簡単ではないのですが、それでも契約に向けて動いてくれたということは、職員の意識が変わったんだなと実感しました。

なので、杉本さんが感じている課題の話でいうと、他の職員も複業人材の方と交流していくと、触発される職員が100人のうち10まではいかないにしても、2、3人くらいは出てくるのではないかと思います!

▼後編はこちら

▼横瀬町の複業アドバイザー・山上さんのインタビュー記事はこちら

▼Another works との自治体連携に興味のある方はこちら

https://is.gd/zWPnjS



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