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鉄板,ソース,ただそれだけで。

好きだ,その鉄板が。
好きだ,その焦げるソースが。

久しぶりに食べた。
焼きそばがおいしい,いや,うまい。
目の前の鉄板でせわしなく作られていく焼きそば。
ソースがたっぷりの焼きそば。
少し太めのモチモチの麺。キャベツともやしも,ああ,天かすも。

なんて幸せなんだ。
服につくにおいなんてどうでもいい,むしろ愛おしい。

仕事のいろいろなんて,すべてどうでもいい。
この余韻に包まれていたい。もう今日はメールなんて,みない。

これが遺伝子に染み付いた幸せのにおい。
焼き小籠包とか,スパイスカレーとか,家系ラーメンとか。
好きだよ,全部好きだ。だけど,違うんだ。

大学の頃はよく行っていたのに。
お店ごとに違うソース,カウンターで目の前で,焦げるソース。

軽快な音だって心地いい。
着飾らない,背伸びもしてない,ただ目の前の鉄板,ただそれだけ。

好きだ。
すごく好きだ。

私は,これが好きだったんだ。

いつもと同じ帰り道。
だけど今日の私は,幸せなにおいに包まれていた。

今日は最高だ。

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