「毛糸で君ごと編んだ夜」
拝啓 すずめ園さま
すずめちゃんこんにちわ!
11月になりましたね、風邪などひいてないでしょうか。最近とっても寒く、わたしは今部屋でカイロを使い始めました。カイロはこの世で指折りの延命措置です。でも冷え性すぎて、握ってると一瞬でつめたくなる‥
前回のすずめちゃんの自由律俳句、表題から最高でしたね‥(更新されてすぐ読んだのですが、あまりの満足度に言葉が出ず引用リツイートしそびれてしまいました‥申し訳ない‥)
なので、お気に入りをここでたっぷり書いちゃおうと思います。
・落ちた柿の実マッチの匂い
“落ちた”柿の実と燃えたら“消えてしまう”マッチで、冬の刹那的な部分が重なっているのかなと思いました どちらも橙色で、暖かいようなさみしいような、そんな冬の気持ちよさが詰まった句ですね‥ 考え方に余白を持てる句は作るのが難しいな‥といつも試行錯誤するのですが、絶妙なバランスになっていてすごいです‥綺麗な色の句🍂
・窓が曇ればふつふつ味噌汁
表題の素晴らしさに圧倒された回でした。なんて素敵な自由律俳句なんだろう‥ふつふつと煮立つ味噌汁の湯気はまさしく冬で、台所の静けさからワカメとお豆腐のいい匂いがしてきました。語呂よし匂いよし、もう完璧です‥冬を表す表題だ‥と思いました。もはやこのまま季語ですね🍲尾崎放哉が喜んでいる‥
・見えない花火が聴こえるだけ
この句はこの前言ってたアレの自由律俳句でしょうか。(これを読んでいる人は、きっと知らないけれど、ひみつです)
じつは、わたしも同じ現象に遭遇したんです‥!話したばかりなのに‥!運命かな、きっとすずめちゃんもこんな気持ちで花火を感じたのだろうな、と、背景にすずめちゃんの顔が思い浮かびました。そんなエピソードもありなんだか特別に感じてしまった一句です。えへへ。
すずめちゃんの自由律俳句、本当に素晴らしい回でした‥わたしも続けるように頑張ろう‥という気持ちです
それではいきます🎇
---------------
・ネクタイ結ぶ背筋がぴっしり
・まるい猫背啜る麺
・煮卵をはんぶんあげよう
↪︎ラーメン屋で麺啜る人の猫背はなんだか味わい深いものがあるし、ピシッとしたスーツだったら尚味わい深いし、冬に食べるラーメンは変え難いものがあるし、あと、わたしは煮卵を半分くれそうなひとが好きです。(食い意地)
---------------
・広い空に怒った
・待ってるうちに終わってしまった
・猫に威嚇される歳か
・スピッツが季節だ
↪︎ 冬になるとスピッツばかり聴いてしまう。
20年しか生きていないはずなのに想い出はそれなりにあり(若いから記憶力が良いだけかしら)、音楽を聴いた時なんかによく開く。とりわけ苦い思い出はあの日のスピード感のままで降ってきて、音楽というものは本当に恐ろしい時限爆弾だなと思う。
スピッツの記憶は、上京して初めての冬。さみしい冬で、あまり好きじゃない冬で、スピッツばかり聴いていた冬だった。帰宅する乗り換えホームの4番線乗り場のポールに寄りかかって、「名前をつけてやる」ばかり繰り返し聴いていた。暗い寒空に歪んだ茶トラ猫のジャケットが浮かんで、スマホを入れたポケットだけあったかいような気がしていた。
「うさぎのバイク」を聴けば最寄りなんて通り過ぎて何処へだって行けたし、「あわ」を聴いたらわたしのどじをみて笑ってくれる人が隣にいる気がしたし、「魔女旅に出る」を聴いたら人生は意外と可愛い気がした。気がした、だけ、だけれど、あの冬はスピッツのおかげで一人じゃなかった。草野マサムネありがとう、と夜空にテレパシーを飛ばしたりもした。
でも多分やっぱり寂しかったんだ。ぽっかり空いた穴は冬という形を留めて、未だにこびりついている、ひとつの寂しさとして。
あなたにもいつか、そんな冬がきっとあった筈だと勝手に願う。それなら、わたしと君はだいたい一緒な気持ちでいて、二人いればひとつで、あの冬のわたしはさみしくなくなるから。
だから冬はスピッツを聴いてね。
---------------
・ワークショップの申し込み今か
↪︎満員電車でワークショップの申し込みをするのは、四葉のクローバーを探す行為に似ている
・つぶしたいつぶしたいイクラつぶしたい鮮魚コーナーの
↪︎葡萄及び白子及びゼリーにも同じ感情を持ちますがイクラがダントツで一位です。
---------------
・ソファねそべる花束と同じ角度で
↪︎ 「どっちが花束だと思う?」というのをいつかやってみたいな、とわたしの中の小悪魔が言っています
・過ぎてったドップラー効果の恋よ
・あの娘も気圧に負けているだろう
---------------
・後頭部の丸みで君と解る
・あの事件の冬きっと前世
・のど飴の殻が去年の冬を物語る
---------------
・染まれるなら染まるよ
・眠りの体勢で朝
・毛糸で君ごと編んだ夜
---------------
さっき見ていた映画で、ドップラー効果についてのシーンがありました。ドップラー効果って、救急車のサイレンの音が変わるあれのことらしいんですが、感情にも同じような現象があるな、と思って詠んだ句が「過ぎてったドップラー効果の恋よ」です。
ラブソングとか恋愛映画ってなんでこんなに多いんだろうと高校時代憤っていたのですが、見たり聴いたりすればする程、そりゃ作るよな、と思うようになりました、大人になったのかなあ‥バラードもブルースも今は好きです。青春映画はいまだ眩しくて観れないけれど。
冬はセンチメンタルになる季節ですね、わたしは毎年負けそうになりますが、なんとか文章に替えて生きよう‥と思います でも好きな季節だ
それではまたね〜すずめちゃん𓅮
にっきより
---------------
次の更新は11月17日 すずめ園ちゃんの番です🍡
『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している
出雲にっき
note ( https://note.com/anone_diary )
Twitter ( https://twitter.com/nikkichan_innes )
すずめ園
note ( https://note.com/natsuno_soucho )
Twitter ( https://twitter.com/natsuno_soucho )
はてなブログ ( https://natsuno-soucho.hatenablog.com/ )
この記事が参加している募集
よろしければサポートお願いします 泣いてよろこびます