平大典「【対東京《バーサス・トーキョー》】Versus Tokyo」(3)
Ⅲ
次の東京の宵は、前回からちょうど一カ月が経過した六月の半ばだった。
拾得に出会った夜以後、寝つきが悪化していた。目を瞑ると、天狗が息を引き取った瞬間やア美顕の日本刀が脳裏に浮かび恐怖している一方で、今夜こそ東京の宵があるかも、というヘンテコな期待を抱いてしまうのだ。
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