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リディア・ペヨヴィッチ/紅坂紫・訳「痛みを超えて」

◆作品紹介

死の淵に立つ「わたし」は医師から一粒の錠剤を渡される。それを飲み下すと、血に塗れた自分の身体を天井から見下ろしていた。痛みもかたちもない、穏やかな世界。そこからオブジェめいた肉体を眺めるとき、わたしたちはあらためて気づく。不安や恐怖、責任といった現実の諸問題は、肉体と世界のあいだで半自動的に生起する演算にすぎないということを。痛み。それは世界とのインターフェースである。世界と関わるためにわたしたちが支払い続けているものである。それを超えた先にはどのような風景が広がっているのだろうか、その時、わたしたちはどちらを選び取るのだろうか。ぜひ本作の行く末を見届けてみてほしい。(編・青山新)

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