見出し画像

傷心旅行に行った話(1/2)

このご時世、傷心旅行なんて本当に行く人いるんだろうか。おらんやろ。じゃあ行ってみるか。
と思って、2021年一人っきりの夏休み、空っぽの予定を余すところなく使い尽くすべく北海道に行くことにした。正直、傷心旅行に行くことなんてもう今を逃したら無いかもしれない、何故かチャンスだと思った。
ただ、傷心旅行ってどうすればいいのかよく分からない。一人で温泉旅館に泊まるとか、友達とどんちゃん騒ぎするとかパターンはあるのだろうが、実際に行った話を聞いたことがないのでいまいち正解のイメージがない。こちとら傷心はジッと耐えるように受け止める派だ。傷心旅行に行く必要がない。
でも行きたい!せっかくだから行ってみて何かあればめっけもん、何もなくてもいい思い出だ。
行き先を考える前に移動手段を決めた。普段車を必要としない生活をしている分、たまには機会を作らなければ運転の仕方も忘れてしまうということで、車を使うことにした。寝台列車の窓から見える山間の景色、そして車窓に映り込むどこか寂しげな"俺"……というのも乙であったが、それはどうしてもやりたければ最悪行った先で電車に乗ればよい。
それに車ならカメラを持ち運べるので行った先で写真を撮れる。僕は友人に譲ってもらった身の丈に合わないカメラを持っているのだが、これが子犬くらい重い。子犬は落としてスチャっと着地するだろうが、カメラはグチャっといってお終い、お陀仏、お釈迦様。扱いには注意が必要だ。車移動は都合がいい。
さて、首都圏に住むプロペーパードライバーには共感頂けるだろうが僕は首都高に乗るのが怖い。そもそも狭い道を車で通ることにひどくストレスを抱くので、できれば都内も走りたくない。だったら飛行機で飛んでから車移動する北海道はもってこいだ。

1日目

結局おもたい子犬ちゃんを抱えて飛行機に乗り、新千歳。宿は一泊もとっていないが帰りのフライトチケットは5日後だ。レンタカーだけは予約しておいたので、とりあえず車中泊でいいと思っていた。そもそも宿を取るためには5日間の工程を決めなければならなかったが、僕は千歳がどのあたりにあるのかも分かっていなかったため無理な話だった。

もうばれてしまっていると思うけれど、悲しいかな僕は小学生の時に計画性というものを家の裏のドブ川に投げ捨ててしまって以来、ちょうど空いた手でアクシデントを掴みにいってしまう悪癖があった。もちろんこの時もそんなものを求めていた。ちなみにそのドブ川は汚さで日本3位に輝いたことのある立派なドブ川だ。ヒルもいた。僕のケイカクセイに通った血はさぞ美味かったろう。

僕が羽田行きの京成線内で決めた行き先は3つ。鹿屋温泉と五稜郭、そして雲海だ。鹿屋温泉はいわゆる秘湯のようなもので僕はそういうのが好きだったし、五稜郭は中二少年の妄想が実現したみたいな形でそういうのも大好きだった。

雲海を挙げた経緯については話すと長くなるのでそれはまた別に記すとして、僕はどうしても雲海の写真を撮りたかった。だから初日は車を借りた足で鹿屋温泉へ向かいひとっ風呂浴びて、そのままトマムへ向かうことにした。北海道の地理を知っている方には分かるかもしれないが、経路はめちゃくちゃだ。

鹿屋温泉は建物が分かりづらくて少々戸惑ったが、大変いい景色であった。風呂も気持ちよく、満足。ニコニコだ。秘湯好きと言えるほどの経験はないけれど、山奥の温泉というのはただ風呂に入るだけでなく、あれ?道合ってる?と独り言を言いはじめるところからすでに入浴なのでアトラクション性があっていい。この辺りで日常から一気に非日常に移ったことを感じ始めた。久しぶりの運転とフライトの疲れもあって多少ハイになっていたのが落ち着いたのだろう。何も決まっていないが大丈夫だろうか。大丈夫だ。露天風呂は気持ちがいいし、今晩はとりあえず夜のうちにトマムに着けばよい。のんびり行こう。

士幌で美味しいウニ丼をペロリと完食した頃にはもう夜だった。ちょっとだけ急いで車を走らせる。
深夜1時に美幌峠展望台に着いた。え?トマムは?僕も今これを書いていて驚いている。この男は初日から行き先を変えている。絶対に雲海の写真を撮りたいとか言っていたが本当に雲海の写真が撮れればなんでも良かったようで、当初想定していた星野リゾートトマムではなく美幌峠に来てしまった。早くも北海道をぶった切るように横断しようとしている。

Aが新千歳空港、Bが当初の目的地トマム、Dが美幌峠。そりゃ深夜1時超えます。

深夜の美幌峠は濃霧に包まれていた。車での走行は非常に危険だ。幸い他に車が走っていなかったので怖い思いはしなかったが、シカやタヌキやキツネには何度も遭遇した。よくわからない生き物の死骸も見た。

ぶれてしまっているが、濃霧の美幌峠

突然だけどこういう東京とは全く違う環境に来ると、そこで生きている人の生活を想像してしまう。どれだけ都会ナイズドされたドベンチャー企業であっても、この環境に置かれたら社風もやることも変わるんじゃないかな、とか、将来や理想という言葉を共有しても前提となる環境が違いすぎて相互理解に時間がかかりそうだな、とか。

2日目

日の出を待つため車中泊し、目が覚めたのは朝4時半くらいだった。ちょうど朝日が昇り始めていて、雲海も観ることが出来た。僕の子犬カメラで撮った写真を一応載せておく。写真としてはまだまだだけれどこれが撮れてよかった、と思った。余談だが後日カメラの元の持ち主にこの写真を褒めてもらったのは本当に嬉しかった。カメラを譲ったことを少しは良かったと思ってくれたらいい。

2021.8 4:30 美幌峠

ここまで書いて、まだ2日目の早朝だということに絶望しているのは僕もアナタも同じだと思う。僕たちは同じ気持ちだ。分かり合える。協力し合おう。

~今更工程表~
1日目
 羽田→新千歳空港
 幌加温泉湯元 鹿の谷
2日目
 美幌峠展望台
 寿し大洋
 神の子池
 Kushiro Marshland Hostel THE GEEK
 富士ホテル
3日目
釧路市湿原展望台
 豚丼のぶたはげ 帯広本店
登別 石水亭
4日目
黄金温泉
 函館グルメ回転寿司函太郎 美原店
 きじひき高原 パノラマ展望台
モラップキャンプ場
5日目
 海の駅ぷらっとみなと市場
 新千歳→羽田空港

本当は書きたいことは沢山ある。沢山あるのだが、、、いかんせんグダついてきてしまった。今日のところはこれくらいで改めさせて頂きたい。
後半の見どころ(?)は太字にしてある。もし良ければそちらも読んでほしい。

続き