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うわさのタンニン鉄液 作ってみました

うわさのタンニン鉄液

 この2~3年、農業界隈では「鉄」が大きな話題になっています。
 鉄などのミネラルは人間の体にとって大切なものですが、植物にとっても葉緑素を作る大切な材料。根から窒素、リン酸、カリなどの養分を吸い上げても、鉄がないと葉緑素は作れませんし、葉緑素がないと充分に光合成することができません。充分に光合成できないと糖分や有機酸類、アミノ酸類が作れず、成長することも種子にでんぷんや脂肪を蓄えることもできません。
 植物にとってこれほど大切な役割を担う鉄ですが、鉄は土の中に大量に含まれているにもかかわらず、植物には吸収されにくい酸化鉄や水酸化鉄の状態になっているそうです。ですから植物は根から根酸を出して鉄を溶かしたり、根圏微生物の力を借りたり、はたまた広葉樹の腐葉土に含まれるタンニンが地中の鉄分と反応し、植物に吸収されやすい「キレート鉄」の状態になったものを吸収しています。
 また、鉄について自然界の循環という観点からいうなら、鉄には循環の経過で生物が本来の活性を取り戻す作用が期待できます。キレート鉄を土壌に撒けば、鉄ミネラルをエサにする微生物が活性化します。その結果、畑では団粒構造が促進され、田んぼではチッソ固定が増え、微生物がつくる健全な土に根を広げた植物も鉄を吸収して育ち、それらを食べる動物の生命の糧となるわけですね。
 こんなにいいこと尽くめなら、植物に吸収されやすいキレート鉄の状態を人の手で作りだして散布すればいいんじゃね?というわけで考え出されたのが緑茶のタンニンと鉄を反応させた「タンニン鉄」です。このタンニン鉄の驚くべき効果はあちこちで発表されていますが、ざっと拾い上げるなら次の通り。

  • 特に根張りがよくなって、野菜が大きくしっかりと育つ

  • 葉や果実のハリ、色ツヤがよくなる

  • 野菜の構造がしっかりするので腐りにくく日持ちがする

  • 野菜の渋み、エグミがなくなり、本来の甘みや旨みが出て食味がよくなる

材料

  • できるだけ濃くて渋いお茶

  • 鉄 (鋳物、錆びた古釘やスチールウール、使い捨てカイロの中身など)。

作り方

  1. 茶葉を煮出してタンニンたっぷりの濃くて渋ーいお茶を作る。

  2. 鉄を入れた容器に冷まして粗熱をとったお茶を注ぐ。

  3. 数日放置してお茶の色が黒くなったら出来上がり。

今回は2.7Lのペットボトルに2本作ってみました。
煮出さなくても水に溶ける粉末茶とスチールウールを使うとよりお手軽につくれます。

 私はこれまで錆びた古釘やら何やらいろんな材料を試してみて、鉄は使用済み使い捨てカイロの中身100均のスチールウールが一番反応が良いように思います。どちらもお茶を注ぐと直ちに反応が始まって真っ黒になりますし、そのまま何度でも繰り返し使えます。
 ちなみに使い捨てカイロの中身はほぼ半分以上が鉄粉です。あとは活性炭とヒル石、水分と微量の食塩でして、使用済みの方が鉄粉が酸化しているのでより反応しやすいようです。最終的に希釈したりして用いますので食塩はほぼ無問題なレベルですが、どうしても気になる方は水洗いしてから投入すれば大丈夫。捨てればただのゴミですけど、これは利用価値が高いです。

コスパ抜群で手軽に作れる植物活力液の完成です。

 さて、こうして出来上がったタンニン鉄液は植物が吸収しやすいキレート状態。原液~10倍程度に希釈したものを、葉面散布したり土壌に撒いたりして使用します。タンニン鉄液は相手を選びませんので、私はいろんな植物に10日~2週間に一回くらいの頻度で使用しています。特に植え付け後の植物がまだ若いときや、植物に元気がない時に与えると効果的。鉄を素早く吸収して、葉緑素を作り光合成を効率良く行えるので、早く成長して新しい根や芽を出すことが出来るという次第です。

これはもう作らない手はないですね。(^^;)

蛇足
 タンニン鉄は腐敗することがあります。水出ししたお茶を使ったり、茶葉をいつまでも液につけたままにしておいたりすると、腐敗して表面に白い膜が張ります。特に気温が高くなる季節は作ったらできるだけ早く使い切るが吉です。また、口の広いバケツなどを容器にして作っている方もおられますが、これも空気に触れる面積が多いので、腐敗の原因になりやすいです。
 そこで私のオススメは大容量のペットボトル。煮沸して抽出したお茶を使えば殺菌もされていますし、使い捨てカイロの中身やスチールウールを入れたペットボトルにこのお茶を注いで、空気を完全に追い出した満タン状態で密封しておけば、まず数日やそこらで腐ることはありません。


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