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【座談会】フィーヤン30周年!『ハッピー・マニア』誕生秘話

『ハッピー・マニア』から『後ハッピーマニア』まで。
当時から今までの作品、「FEEL YOUNG」のことを、安野モヨコと新旧担当編集さんが振り返っていきます。
「FEEL YOUNG」2021年8月号に掲載された座談会記事の中におさまりきらなかったエピソードも加え、「ロンパースルーム DX」では、全3回でお届けします!(スタッフ)
▼座談会メンバー
安野モヨコ Moyoco Anno

高校在学時に「まったくイカしたやつらだぜ!」でデビュー。
主な作品に『ハッピー・マニア』『働きマン』『さくらん』『シュガシュガルーン』などの作品がある。『鼻下長紳士回顧録』で第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。
現在、「FEEL YOUNG」で『後ハッピーマニア』、「I’m home.」でエッセイ『ふしん道楽』を連載中。

吉田朗 Rou Yoshida

元『FEEL YOUNG』編集者(現在は引退)。
『ハッピー・マニア』を立ち上げたかつての担当。

小林愛 Ai Kobayashi 
『FEEL YOUNG』編集者。『後ハッピーマニア』を立ち上げた現担当。

この雑誌に入るには覚悟がいるなと思った(安野)

(テーブルに置かれた創刊当時のフィール・ヤングを見ながら)
安野 わーなつかしいなあ。森園みるく先生の名前が大きく載っていて……全体的に「大人感」がすごくある。

fy9108表紙_差替


小林 パラッと開いてみたらベッドシーンがすごく多かったです(笑)。かなり開放的な感じでした。
安野 この頃はそうなんだよね(笑)。多田由美先生もいらっしゃる……多田先生は革新的でめちゃくちゃかっこよくて。みんな真似したもんだよ(笑)。
小林 創刊の頃、安野さんは……。
安野 デビューはしていて、でもいつでも打ち切られそうな雰囲気の連載をしていたと思う(笑)。
吉田 別の雑誌の専属だったと思うよ。
安野 そうですね。岡崎(京子)さんと(桜沢)エリカさんのアシスタントをやっていたから、仕事場でフィール・ヤングは見ていたし、話は聞いていました。

――お2人を通して見るフィール・ヤングはどんな雑誌でしたか?
安野 すごい作家さんばっかりが描いていて……恐ろしいところだなと(笑)。ここに入るのは相当覚悟がいるなと思っていました。もちろん、最初に吉田さんに声をかけていただいた時はすごくうれしかったですけど、自分が描けるようになるとは思っていなかったです。

――吉田さんはどういう経緯で安野さんに声をかけられたんですか?
吉田 前から安野さんのマンガは読んでいて。桜沢さんの仕事場に行った時に、みんなが原稿をやっている中で、一人だけふわふわーんて遊んでる人がいたんですよ(笑)。
安野・小林 (笑)
吉田 「あの人、仕事しなくていいんですか?」って桜沢さんに聞いたら、「彼女はみんなの何倍もやっているんだけど、手が速いからもう終わってるの」って。それが安野さんでした。「え! あなたが安野モヨコさんですか? じゃあフィール・ヤングで描いてくれませんか?」とその場で言いました。
小林 人のお宅で(笑)。
安野 覚えてます。その時、吉田さんは腰痛がひどくて、「ピクニック少女」みたいなポージングだったんですよ。うつぶせに寝て、頬杖ついて、足をパタパタさせながら「あなたが安野さん?」って。
小林 (笑)

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安野モヨコ&庵野秀明夫婦のディープな日常を綴ったエッセイ漫画「監督不行届」の文章版である『還暦不行届』の、現在連載中のマンガ「後ハッピーマ…

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