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ともしび日記 12月31日

12月の中でクリスマスが終わってお正月気分が盛り上がる前の5日間がたまらなく好きだ。
大掃除などを始めてしまうと忙しいけれど思い切ってやめてしまえば案外時間があって、まとまったことができる。

今年は着物の柄を描いたりネイルの色を調合したりいろいろやる事があって楽しみにしていた。
さあ!やったるで〜!と腕をまくって張り切っていると撮影が終わった監督がのそりと帰ってきたではないか。
いや、帰ってくるのはわかっていた。
事前に連絡ももらってたし、何日か前からその日に監督が戻るのは決まっていた。
居ない間は寂しさもあったから帰りを楽しみにもしていた。
でも帰って来ると「わあ、出た〜!」の連続である。

この3ヶ月ばかりはロケやらスタジオ撮影やらでほとんど留守にしていたので、すっかり一人暮らしが板についていた私。
朝起きたらストレッチ、コーヒー淹れてゆっくり飲みながらメールチェックしてオートミールのあさごはん。
朝日を浴びながら身支度して掃除、というような流れが出来ていた。

しかし監督はいきなり全てをなぎ倒しながら、生活の中に戻って来た。
朝から二度寝をして朝ごはんはいらない。
と思うとやっぱり食べる。ビール飲みたい。飲んでお腹を壊す。しばらく具合悪くなる。
やはり撮影での疲労がどっと出ている。可哀想。
なんか急にメンタル的にもバランス崩す。
しきりに褒めたりはげましてたら少し回復する。
ソファで眠りだしたので毛布かけてやる。
起きたらソファのあたりには物が散乱している。
洋服もおそらく自分としては片付けているつもりなのだろうな、という感じでぐるぐるに丸めて置いてある。

こんな描写してたら年明ける。
それほどにキリがないのでここら辺で切り上げるけど、私の穏やかで楽しい年末のちょっとした時間はロケ明け荷物の片付けや掃除と洗濯でなぜかあっと言う間にすぎた。
気がつけばもう大晦日だ。

まあこんなもんだよね。と、自分に言い聞かせながら大量の洗濯物を畳んでしまう。
洗濯物を畳んで棚に収納する仕事が家事の中で1番苦手だったのだが今年ついに克服してわりと好きになった。
シャツやタオルのそれぞれの畳み方の完成形を決めて、かっちり仕上げて収納するまでを工場のラインのつもりでやるようにしたら楽しかった。
これでもう嫌な家事は無くなった。
それが今年1番の収穫かもしれない。
人間いくつになっても変わろうと思えば変われるのだ。
と言う話を昼寝から起きた監督にして、うっすら洋服丸めるなということを説いてみようと思う。

それでは皆さま、穏やかな年末年始をお過ごし下さい。
来年もどうぞよろしくお願いします。

安野モヨコ

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安野モヨコ&庵野秀明夫婦のディープな日常を綴ったエッセイ漫画「監督不行届」の文章版である『還暦不行届』の、現在連載中のマンガ「後ハッピーマ…

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