見出し画像

1月21日ユニベアシティの日

「私は絶対に小学生にならない!」

 この春に小学一年生になる恵は仁王立ちで宣言した。さっき届いたばかりのランドセルはダイニングテーブルに無造作に置かれている。

「お友達もたくさんいるし、お姉ちゃんも一緒よ」

 困った顔で母が言う。

「行かないよ。だってお姉ちゃんは5年生だし、幼稚園のお友達もいないもん」

 今にも、ふんっ!と鼻息が聞こえそうな勢いだ。

 困り顔のままの母の隣で、何とか小学校に行きたくなるような方法はないだろうかと考えていたは姉の真弓だった。

 興奮冷めやらぬ妹をじっと見つめていると、彼女がミニーちゃんを抱き、自由帳にはクマのキャラクターを描いていることに気づく。

 そこで真弓はピンと来た。

「恵、お姉ちゃんと動画みよう」

 そう言って母のタブレットを借り動画アプリを起動して検索する。

「あった!」

 真弓がそう言うと、恵はのぞき込んで画面を見つめ、それが分かるとパァっと明るい表情になる。

「ユニベアシティ!」

 それはディズニーストアのオリジナルキャラクターであるクマのぬいぐるみだった。
 ミッキーたちが通うユニベアシティと言う学校で誕生したキャラクターである。『クマをテーマにした物語を作る』という宿題の為に、ミッキーたちがそれぞれクマのぬいぐるみを作成し、宿題を提出したところ、そのクマたちに魔法がかかりぬいぐるみは動きだし、楽しそうに授業を受けたと言うストーリーだった。

「この動画一緒に見よう」

「うん!」

 大きくうなづいた恵と共に動画を再生した。

 ミニーマウスが作ったクマのぬいぐるみは『プリン』と言う。ミニーと同じ赤に白い水玉リボンが特徴である。きっと恵はこのプリンを気に入るはずだ。

 学校の宿題のために友達と協力して楽しくぬいぐるみを作り、それに魔法がかかったと言うこのストーリーを、恵に与えることが出来るのではないかと真弓は考えたのだ。

「ミニーちゃんが作ったクマさん、かわいかったね」

 ショートストーリーを見て大満足の恵に、真弓は伝えた。

「クマさんたち、とても楽しそうにお勉強していたでしょ。小学校もきっと楽しいよ」

 真弓が言うと、一転して恵の顔がうすら曇る。

「でも・・・・・・」

「一人で行くのが寂しいんだよね。でもミニーちゃんのぬいぐるみも持っていけないし」

 真弓の代弁にコクリと恵がうなづいた。

「だから、ミニーちゃんがそうしたように、このクマさんをお姉ちゃんと一緒に作ろう。キーホルダーにして、ランドセルにつけて学校に行くのはどう?」

 少しだけ興味が沸いたのか、恵は顔を上げた。けれどすぐに視線を背ける。

「でもお姉ちゃんいない」

 寂しそうに言う恵の頭を真弓は優しく撫でた。

「学校に行くのは一緒だし、それにこのユニベアシティ、お姉ちゃんと同じ10歳なんだよ」

 にこりと笑って伝えると、それにつられるようにして恵も微笑んだ。

「プリンちゃんと一緒にプリンちゃんたちと同じように楽しく学校行こう」

 真弓はそう言ってぎゅっと恵を抱きしめた。恵も真弓に腕を回しぎゅっと力を込める。

「お姉ちゃん、魔法がかかったかも。私、学校楽しみになってきた」

 魔法は案外誰でも使えるかもしれない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 

【今日の記念日】
1月21日 ユニベアシティの日

ディズニーストアのオリジナルキャラクター「UniBEARsity(ユニベアシティ)」が2011年1月21日に発売を開始したことから、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社が制定。「UniBEARsity(ユニベアシティ)」とは「university」(学校)と「BEAR」(クマ)を合わせた造語で、ミッキーマウスたちが学校の宿題でクマのぬいぐるみを作ったというストーリーから誕生したキャラクター。

記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?