8月22日 はいチーズ!の日
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8月22日 はいチーズ!の日

あにぃ@短編小説

    スマホに残るイベント写真の少なさに気がついたのはすでに今年の夏も終わりを見せ始めた今日。

 去年も少なかったけれど、今年も今年で少ない。考えてみれば、授業参観もなくなり、学期末発表会もなく、運動会も観覧中止に夏祭りもないのである。フォルダの中、一目でそれが分かり急に悲しく思う。それでも何とか記録を残したいと思ったようで、日常の何気ない写真を私はたくさん撮っている。

 何気ない写真も良いけれど、一大イベントの思い出も欲しいところだ。

 そんなことを思いながら学校のお便りを見返していると、いつだったかに配られた写真販売の案内を見つけた。

 そうだった。今年からはオンラインでの写真発注となったのだ。あとでやろうと思って忘れていた。

 でもなぁ、と思う。

 こういうのって、時々学校の先生が撮ってくれるように全体での写真が多かったり、目立つ子が枚数も多く写っていたりするのだろうな。

 うちの子はそのあたりどうだろうか。

「幸平、今なにしているの?」

 玄関で時々ガタガタと聞こえるその方に声を掛けてみる。

「ありを見ている」

 低めの声で返事があった。彼がこういう声を出すときには何か集中しているときだからこれ以上は深く聞かない方が良い。私は了解!とだけ返し、プリントを再度見る。

 大人しい子はあまり多くは写っていないのだろうと期待はせずに、指示の通しにログインしてみた。するとその写真枚数の多さに驚いた。300枚以上が掲載されているらしい。それも幸平の通う小学校の1学年だけの枚数である。私は慌ててスマホのログインからPCにて開きなおした。こんなに枚数があるのか!で、あればもしかしたら・・・・・・。

 そんな期待を抱いて幸平の写る写真を繰っていく。やっぱりなかなか出てこないのだが、わが子以外の写る写真を見るのもちょっと楽しい。幸平と仲の良い子や苦手だと聞いた子。

「あ」

 そして、幸平が好きな女の子、蓮ちゃん。彼女のアップの写真が激写されており、今日も可愛いなと思って見た(私も彼女を可愛いと思うのだ。親子である)。が、その背後を見て驚いた。

 彼女の何メートルか後ろに幸平がいる。そして彼女を見ているその表情までも激写されているのである。

 私は思わず笑った。そしてきっと幸平に言えば彼は怒るのだろうと思うと言えなかった。その余韻を残しつつ、残りの多くの写真を見て進める。

 きっと、私がはいチーズと言っていたなら、彼のこんな切なそうに彼女を見る視線や表情を写真に収めることはできなかっただろうと思うと、写真屋さん様々である。

 それに意外と幸平の顔がよく写っている写真が多く、私は嬉しくなった。その写真の中の彼はよく笑っている。

 例え、はいチーズ!と私や夫が言う回数が少なくても、彼が笑うその回数は、案外去年からもその前からも減ってはいないのかもしれない。

「お母さん!今、蟻が笑ったよ」

 嬉しそうに玄関から報告をしてくれる彼の顔もまた満面の笑みだった。私はスマホのレンズを向けて、はいチーズ!と、声には出さずシャッターを切る。

 笑った数だけ写真があるし、写真の数だけ笑えているこの毎日は、それだけで十分幸せなのである。

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【今日の記念日】

8月22日 はいチーズ!の日

「一枚の写真から千の笑顔を。」をモットーに「はいチーズ!」を運営する千株式会社が制定。「はいチーズ!」はカメラマンが保育園・幼稚園の行事などを撮影した写真をママやパパが見たり買ったりできるインターネット写真サービスのこと。日付は8月22日を8/22として、こどもたちのとびきりの笑顔の写真を撮るための掛け声である「は(8)い(1)チ(2)ーズ(2)!」の語呂合わせから。

記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。

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あにぃ@短編小説
小説家を目指して日々言葉を紡ぐ。 2021.11~毎週月曜日の昼12時更新 短編小説を連載致します。 皆様、示し合わせの上ふるってお読みくださいませ。 過去作品......『365日の記念日小説』 (2020.10~2021.9) 一人で何人もの毎日を生きていきたい。