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エッセイのような、日記のような、広がっていく言葉の森たち。

歩いていく。どこに続くかわからないこの道を。薄暗くザワザワと揺れる木々の間をただ前を見つめながら。どこに行けるのだろう。不安になって後ろを向く。さっきまで歩いてきた道は、知っているけど知らない場所に見える。前にも後ろにもわずかに光が見えて、少しホッとする。大丈夫だ。きっと、大丈夫。また一歩私は前に進む。この道を信じて。


母方の実家に帰るといつも近くの神社に寄った。そこにはとても大きい木があった。樹齢何年になるだろう。私の両手では抱きしめられないくらい大きな木。でも、くねっと腰を捻らせて、L字のようになっている。上を見上げると高いところに葉っぱが付いている。君は一体何歳なの。いつからここにいるの。何を見てきたの。私よりもうんと年上の木が見守ってる気がするのは何故なんだろう。つらいことも悲しいことも嬉しいことも楽しいことも全部君は知ってるんだね。私もいつかはこの木のようにどっしりといろんなものを受け止められる人になりたい。


虫の声が聞こえる。夜になるとなおさら。山に住んでいるとそれが私のBGMだった。今住んでいる海側ではほとんど聞こえてこない。森がないからだ。ただ、月は綺麗に見える。海に人工的な光はないから。時々不安になる。いつも聞こえていた音たちがいなくなり、静かな世界で生きていると私は孤独を感じる。生きているものの鼓動を感じない。私にとって山は命の鼓動が聞こえる場所なのだ。やっぱり山が好き。実家に戻るとそう思う。安心感が違う。だって、私たちは生きてるんだもの。

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