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ポンコツだと思っていた夫が圧倒的成長を遂げていた

結婚して、子どもが生まれて。妻が夫に抱く不満のテンプレを抱きながら、私は過ごしている。基本的に、家での夫はポンコツだ。「仕事できてるのかな?」と心配になるほどに。だって買い物リストに書いてあるものすら買い忘れて帰ってきたりするのだから。夫の愚痴を話し出すと止まらなくなるので、ここまでにしておく。

コロナの影響で、ほぼ毎日リモートワークしている夫。盗み聞きするつもりはなかったが、たまたま仕事部屋の前を通りかかったとき、誰かと電話している声が聞こえた。取引先の誰かだろうか。

扉越しの夫の話し声を聞いて驚いた。あまり喋るのが上手ではないと思っていた夫が、めちゃくちゃ上手に話していたのだ。テンポよく話してはいるが、決して早口ではなく。ハキハキと聞き取りやすいうえに、丁寧さも感じる。贔屓目なしに、好印象な喋り方だと思った。

私と夫は職場で出会った。だから少しは、かつての夫の働きぶりを知っている。といっても違う部署で全く違う仕事をしていたので詳しくは知らないが、席が真向かいだったので、夫が営業電話をかけていた姿は今でもすぐに思い出すことができる。早口で、よく噛むし、言い間違えも多くて、見ているこっちがヒヤヒヤするような営業マンだった。(極秘の社内恋愛、ひっそりと仕事ぶりを観察していた日々が懐かしい)

この数年間で、夫は部署異動を経験し、転職もした。たくさんの人と電話をし、面接をし、イベントに登壇したりする中で、話す力が養われたのだろうか。場数を踏むと成長するんだなと、夫を見て思った。それは圧倒的な成長と言っていいだろう。

私が評価できる夫の仕事ぶりは、せいぜいその程度で、それ以上は知らない。でも“話し上手”は仕事をするうえで、きっと武器になる。それだけの能力を身につけた夫は、尊敬に値すると思っている。

ところで私は何か成長したかなと考えた。よく「母親は子どもと一緒に育つ」だなんて言うけど、母親になっても、私は私のままである。何かを我慢したり、許したり、母親の顔して過ごしてはいるが、油断すると素の自分が剥き出しになってしまう。ヒーローに例えるなら、かたや夫はハルク。DNAからアップデートしたタイプ。かたや私はアイアンマン。スーツは最強でも、中身は普通の人間だ。(アイアンマンは中身もハイスペだけど…)

家でポンコツだった夫は他所で圧倒的成長を遂げるため、パワーを使い切っていたようだ。がんばれ、夫よ。


コグレアンナ(anna_kogure_)

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