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マクドナルド

涙が流れるほど嫌な気持ちを久しぶりに経験した。一人でおいおいと泣いた。悲しくて、腹が立って、悔しくて、情けなくて、申し訳なかった。

泣いたあと、マクドナルドに行った。ナゲットを買ってきてねと、昨日の夜、彼に頼まれていた。私はノースリーブの薄い緑のワンピースに着替えた。一人で沖縄へ行く前に買った、お気に入りの服。カーディガンは着なかった。それから、好きな友達からもらったシャネルのリップ。彼からもらった、ダイヤがたくさん付いた結婚指輪。BGMはエレファントカシマシのEasy Go。目元は単色メイクでぐるっと囲んだ。無いものを数えても仕方ない。今あるありったけの幸せをかき集めた。夜の街をぐんぐん歩いていると、少しずつ気が紛れてきた。指輪、派手かもしれないと思ったけど、このデザインで良かった。暗い道でも石がキラキラとして、慰められる。

人生で初めてナゲットを買った。帰宅した彼と一緒に食べ、食べ終わってから大本命の企業の最終選考に落ちたことを伝えた。食事前に伝えると、飯がまずくなると思ったからだ。

彼は、「悔しいと思う気持ちは君のものだから仕方ないけど、申し訳なく思う必要はないからね。大丈夫。でも、悔しかったね」と肩をトントンと撫でてくれた。私は涙と鼻水でグチャグチャだった。

一夜明けて9月になった。夏が終わる。とりあえずtetoの9月になることを聞く。季節が進むのが恐ろしい。置いて行かないでくれ。取り残されるような焦燥感。頭を掻きむしりたくなるような気持ちと、縋るものを指折り数える自分と。無理矢理にでも動くのがいいのは分かっている。粛々と生活を営もう。日々は生活があるだけだ。一度落ち込んだあと、更にくよくよしても意味ないよアンタと、心の中のさくらももこが言う。

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