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決勝トーナメント1回戦にPK戦は要らない  ~妄想トーナメント~

サッカーの大会トーナメントのルールをうまい具合に変えたら、もっと盛り上がりそうだよなぁ。と、勝手に妄想していきます。

まずは、PK戦がなくなるルールを考えてみました。数少ないゴールキーパーの見せ場、ヒーローになれるチャンスをなくすのは、しのびない気がしますが、いってみましょう。


1位突破は優遇されない

突破確定だと気が緩む?

ワールドカップやアジアカップなど、16チームや32チームによる大会では、グループステージの後に決勝トーナメント(ノックアウトステージ)が行われるものが一般的。
その場合、決勝トーナメント1回戦は、グループステージ1位と2位の対戦になるが、試合自体は対等条件で行われる。
当たり前過ぎて、以前は疑問に思わなかった。

でもこれって、「1位にならなくても別にいいや」って事にならないか?
1位の優位点があるとすれば、

  1. 下位(相対的に弱いと考えられる)相手と対戦できる。

  2. ホームで開催できる。

  3. 賞金が多くなる。

  4. 日程や試合会場の移動の負担が軽くなる。

  5. ユニフォームの色(ホームorアウェー)を優先的に選べる。

1.2.は優位点と理解出来るが、2.はそもそもホーム開催など出来ない大会がある。
3.以下は、一般観衆にとってわかりづらい。あるいは、どうでもいいと感じる優位点だ。

1.について改めて考えると、グループステージの順位が実力順になるとは限らない。対戦するグループの2位が強豪チームだとしたら、1位になるのは優位と言えるのか。
この考えをもとに、意地悪な質問をMicrosoft Copilotに投げてみた。
的確な返答なので、そのまま掲載する。

2位以上が確定している場合、必ずしも1位を取りに行く必要がないと考えると、試合自体がつまらないものになるのではないか?

Copilot
その観点は理解できます。確かに、2位以上が確定している場合、チームはリスクを避けるために主要な選手を休ませるかもしれませんし、戦略的には必ずしも1位を目指す必要がないかもしれません。これは観客にとっては試合が予測可能になり、エキサイティングさが減少する可能性があります。

しかし、それでも多くのチームは競争心を持っており、可能な限り高い順位を目指す傾向があります。
また、1位を獲得することは、チームの自信を高め、次のラウンドに向けてのモメンタムを作ることができます。さらに、ファンやスポンサーに対するチームの評価も影響を受ける可能性があります。
また、サッカーの試合は常に予測不可能な要素が含まれています。主要な選手が休んでも、若手選手や控え選手がチャンスをつかむ機会となり、新たな発見や驚きを提供することがあります。

したがって、試合がつまらなくなるとは必ずしも言えません。それは試合の進行やチームの戦略、そして観客自身の視点によるところが大きいです。それがスポーツの魅力の一部ですね。😊

『その通りだ』とは思うものの、回答が優等生過ぎて、まるでFIFAに言わされてるみたい。負の側面にあまり踏み込みたく無いようだ。

突破確定したチームが3試合目に臨む意気込みは、こんな感じだろう。

1位突破 ≧ 2位突破

もう決勝トーナメントの試合のことを考えていて、目の前の試合は二の次。
勝ちに行く姿勢はあるけれど、全力とは言えないかもしれない。

見える敵 見えない敵

16あるいは32チームでの、2位以上というグループステージ突破条件は、わりと厳しい。
ゆえに、1位か2位かを選べる様な余裕をもった状況は、それほど多くならない。
それよりも、グループステージ突破が優先で、1位を狙うどころではないという状況は、結構ある。

覚えている方も多いかもしれない。2018ロシアW杯の日本 vs ポーランド戦は、まさにそうした状況だった。

2018ロシアW杯グループH
2試合終了時順位表

日本は、2試合終えた時点でセネガルと同じ勝ち点4。フェアプレーポイントの差で、暫定首位に立っていた。
3試合目は、セネガル vs コロンビア。そして、日本 vs ポーランド。
仮にも日本は首位。
もちろん、願うは勝って首位で決勝トーナメント進出だ。
しかし、頭の片隅に『引き分けでOK』という考えがなかったか? チームがそう考えるのは、戦略上当たり前の事かもしれない。想定して試合に臨む必要がある。では、応援するファンはどうだったか? 

結果はご存知の通り。
おさらいしたい方の為に、当時の記事を貼っておく。

世紀の茶番? 日本対ポーランドのスタジアムで何が起きていたのか(村上アシシ) - エキスパート - Yahoo!ニュース

この状況を表すのに
『This is football』
という言葉がある。
『これがサッカーだ』
という意味だが
この言葉は好きじゃない。
後ろ向きではなく
前向きな意味で
言えるようになれば
いいと思う。

日本は、試合に負けて決勝トーナメントの切符を手にした。

チームにとっての勝利は、大きく分けるとふたつある。目の前の対戦相手という見える敵との勝利と、決勝トーナメント進出や優勝といった目標、見えない敵との勝利

理想は、見える敵との勝利が見えない敵との勝利に直結していること。

日本は、見えない敵との勝利を優先し、見える敵に敗北することを受け入れた。あのような途中経過では仕方がないという見方もあるが、そもそも本気で勝ちに行く気概があったのか。
とてもうがった見方だということを承知の上で書くと、こういうことだ。

2位突破 > 1位突破

これは、おかしいだろ。1位の価値が低い。低すぎる。
1位突破が明らかに有利というルールじゃないのが、問題なのでは?
観衆にもわかりやすい1位優遇ルールがあっても、いいんじゃないか?

上位チームを優遇しよう

J1昇格プレーオフには、明確な上位優遇のルールがある。

(1)参加クラブ数4の場合
各1試合のトーナメント方式(計3試合)にて実施。
明治安田J2リーグ年間順位3~6位のクラブで、トーナメントを行う。
準決勝の組み合わせは、3位vs.6位、4位vs.5位。

<試合方式および勝敗の決定>
90分間(前後半各45分)の試合を行う。
準決勝、決勝ともに90分で引き分けの場合は、年間順位の優位性を確保するため、リーグ戦年間順位が上位のクラブを勝者とする。

www.jleague.jp より抜粋

少々ケチをつけるなら
4位vs5位は
順位差が小さいから
延長戦120分で引き分けの場合
でいいんじゃないかなと
個人的には思う。
決勝で3位vs4位
または5位vs6位
となった場合も同様。
これは余談なので
脇に置いておく。

グループステージ1位に与える優遇策アドバンテージは、これがいいんじゃないかと思う。
ただし1回戦のみ。何十試合も重ねた順位と、3試合で決まった順位では、順位の重みが違う。2回戦以降は通常のPK戦を含む試合。
アドバンテージを90分にするか120分にするかは、大会や状況による。
アドバンテージ120分の場合をまとめるとこうなる。

<試合方式および勝敗の決定>
90分間(前後半各45分)の試合を行う。
90分で引き分けの場合は、さらに30分(前後半各15分)の試合(計120分)を行う。
決勝トーナメント1回戦の試合において、120分で引き分けの場合は、グループステージ順位の優位性を確保するため、グループステージ順位が上位のチームを勝者とする。

優遇策アドバンテージがあるとどうなる?

グループステージの思惑

より高みを目指すチームは、アドバンテージがあってもなくても1位を狙うだろう。だが、そのアプローチは変わりそうだ。
これまでだと、2勝した後の3試合は、選手を大幅に入れ替えて臨むイメージがある。決勝トーナメントに備えてのものだが、別に勝利を放棄している訳ではない。出番がなかった選手に、勝利を託す考えがある。
アドバンテージルールがある場合、3戦必勝を目指すだろう。3戦通して選手をやり繰りするマネージメントが行われる。2戦目までと比べて、3戦目のメンバーの格は落ちないだろう。

1位突破 > 2位突破

1位突破が明確な目標となる。当たり前だが、こうあるべきだ。

アドバンテージルールがあると仮定して、前述の日本 vs ポーランド戦がどうなるか考えてみよう。

同じような終盤を迎えれば、それでも膠着状態となる可能性はある。
敗戦すれば2位となり、決勝トーナメント1回戦でのビハインドを受け入れる。

受け入れられるか?
より辛辣な批判にさらされるのが目に見えるようだ。
やむ負えないとする擁護派も、かなり少なくなるだろう。

よって、日本は1位突破を目指し、必勝態勢で試合に臨む。
引き分け、ましてや負けての2位突破でもいいとは考えない。

実際の結果は、負けて2位突破になるかもしれない。
だが、自ら敗北を選ぶはずがない。

と思いたい。

決勝T1回戦の試合展開は苛烈に

2022W杯 日本 vs クロアチア戦

延長120分を戦い、日本はPK戦の末敗れた。
アドバンテージルールであれば、延長120分引き分けだから、日本の勝利のはずだ。しかし、実際にはそう単純ではない。
試合展開は、全く違う物になる。
仮に引き分けのまま試合が推移したとする。
終盤が近づくにつれ、クロアチアの攻撃の圧力が強くなる。
最終盤ではリスクもいとわず、パワープレーを仕掛けてくるだろう。
日本は防戦一方の中、隙を突いてカウンターといった展開が考えられる。
同じ延長120分引き分けという結果が出るかは、やってみないとわからない。

象徴的な試合

2014J1昇格プレーオフ 準決勝
ジュビロ磐田(リーグ4位) vs モンテディオ山形(6位)

この試合では、90分引き分けならリーグ上位の磐田が勝者になる。
互いに1点を加えての同点で、後半アディショナルタイムに入る。
山形(黄ユニ)がコーナーキックを獲得。残り時間が少なく、ほぼラストチャンス。引き分け=敗退となる山形は、もうゴールマウスを守る意味がない。山形のGK山岸(緑ユニ)が磐田ゴール前に上がっていく。
百読は一見にしかず。観るべし。

これ、サッカー

一瞬にして、勝者と敗者が入れ替わる。これほどゴールキーパーが脚光を浴びる瞬間は、まずないだろう。
アドバンテージルールだと、終盤にキーパーが相手ゴール前に詰めるのは、もはやお馴染みの光景となる。
PK戦をなくすことで、キーパーがより輝くチャンスが巡ってくるというのは、実に興味深い。

アドバンテージの欠陥・デメリット

良いことばかり述べてきたが、悪いことはないのか。
アドバンテージルール自体は、割と簡単に思いつく。
導入のハードルも低い。大会前に周知すればいいだけ。
経費の掛かるような準備も要らない。

しかし、主要な大会に採用されていないのは、なぜだろう。
何かとんでもない欠陥でもあるのか?
キーパーのシュート練習が必須になる、ぐらいしか思い付かない。
まあ、競技者は負荷が増えるよねってのは、わかる。
でも、刺激的な試合が増えて、観衆は大歓迎のはずだ。

欠陥やデメリットを知っている、見つけたという方は、教えて欲しい。

おそらく、現行のルールで大きな問題がないので、変更する必要がないと考えられているのだろう。

グループステージを突破したチームを対等に扱うのは、正義だとは思う。
しかし、より良い戦績で突破したチームを優遇するのも、正義ではないだろうか。

今回、16や32チーム参加の大会について述べたが、実は12や24チームの大会の方が問題が大きい。

2026W杯の48チームも。これは次回の宿題。


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