恋はするものじゃない。


付き合うのが怖い。
関係性に絶対的な名前をつけたくないの。


どうして付き合うのが怖いのだろう。
その根本的な理由は何か、考えていた。


わたしは、習い事やサークル、バイトだってささいなことにも慎重で絶対になんとなくで関係を作れない。ものすごく考えてしまう。
そして、それらをやめることに対してものすごい罪悪感と苦しさを感じる。やめるなら、そもそも初めからそんな間違った関係、作りたくない。完璧主義がここでも出ているのかもしれない。これまで何かに区切りをつけたことといえば、高校の時組んでいたバンドぐらいしかない。仲は悪かったけどそのままなんとなく続くのだと思っていた。解散しませんか?そう言ってきたのは、バンドメンバーだった。あっさり受け入れたけれど、解散するなんて、わたしには思いつきもしなかった。


わたしは何に対してもとても慎重なのに、
恋は慎重さを与えてくれない。

それなのに、恋という気持ちは慎重さを与えてくれない。突然に好きだという気持ちが溢れて、慎重に考えたいのに、理性がうまく働いてくれない。
付き合うことは、ある契約を結んで、新しいコミュニティーに入ることとどこか似ているような気がする。始めるにも慎重にならざるを得ないし、終わらせることにも罪悪感や苦しさを感じてしまう。
冷静にならなけば!とブレーキを一生懸命かけて、考えすぎて考えすぎて、疲れてしまう。怖くなってしまう。



でも、人間関係。これも慎重という点では変わらないけど、他の決断とは少し違ってる気がする。

大好きな友達。

大好きな友達のこと、たくさん考えて、そんな友達にしたくてしたわけじゃない。
なんとなく一緒にいただけ、少しも考えていないのだ。なんとなく席が近いから、なんとなく班が同じだったから、なんとなく同じ部活だったから…。
でもこのなんとなくで選んできた結果が、今あるステキな人間関係だ。初めからこのような関係になりたいとも、理由や狙いを定めて作り上げた関係でもない。
出会った瞬間、友達でもこの人好き!とか運命だ!って思う人もいるらしい。でもわたしは絶対にそんなふうに思えない。慎重すぎるぐらいに慎重で、初めはなんもなく一緒にいることしかできないのだ。

大切な友達の中でもひとり、大切という言葉では表せないほど、本当に大切な存在がいる。
出会いは、高校の入学式。クラスに話せる人ができてよかった、初めはただそれだけの気持ちだった。教室の座席が前後だった私たちは、移動教室だったり、掃除の班だったり、何かと一緒に過ごす機会が多かった。特別な気持ちもないままなんとなく一緒にいて、2年生からはクラスが離れた。それからか?いつからか覚えていない。一緒に過ごす時間はほとんどなくなったのに、なぜか毎日のように夜遅くまでくだらないことでラインして、受験生になってからも、毎日のように、隙間時間を見つけては会いに行った。ただ話したかった。もうその時にはすでにいなくてはならない特別な存在で、卒業した今も、お互いがお互いの一番だと自信を持って言える大切な存在になっていた。




それなら、恋人だってもう少し軽く考えてみても、今だけを考えてみてもいいのではないか?
ただなんとなく相談がしやすいからという理由でLINEして、ただなんとなく話しやすいからという理由で電話して、ただなんとなく会いたいからという理由で遊んで。ただなんとなく今一緒にいたい、それだけを考えてもいいのではないか?


そもそも今好きな人だって、"付き合う"ために仲良くなったわけじゃないし、ただ人として好きで、その延長で恋愛として考えてしまっただけだ。仲良くしたいという気持ちの延長に、付き合うこともあるかもしれないし、ないかもしれないそれだけのことなのかもしれない。そして、付き合ったならいつか別れだってあるかもしれないし、ないかもしれないけど、きっとその関係の前後には、大きなハードルがあるわけでも、大きな溝があるわけでもないはずなのだ。


大好きな友達が、大好きになるために何かハードルを超えたわけでも、何か他の友達にはない特別なことをしたわけではないように。ただ過去のある瞬間、なんとなく一緒にいたかっただけだ。


いつのまにか大切な存在になっていた。
気づいたらそうなっていた。
ただの結果論なのだ。
すべて作り上げたくて作ったものじゃないし、ほしくて手に入れたものじゃない。



わたしは付き合うということに固定概念があった。


付き合ったら、突然違う世界にフワフワと飛んでいって、これまでとは違う特別な関係になって、毎日がその人で溢れてしまうような日々になる。でも、それは突然に終わりを迎え、呆気なく消えてしまう。そして、ボロボロの自分だけが残る。天国から地獄に落ちてしまう。


そんな恋愛をしている友達をたくさん見てきたし、恋愛の形はいくらでもあるのだろうけど、わたしはそんな恋愛を絶対にしたくないし、できない。死ぬかもしれない。わたしがどんなに重い女なのはわかってる。あまりにもリスクが大きすぎる。

いつのまにか付き合っていた。
いつのまにか距離ができていた。



わたしはきっと、そんな絶対的な名前のつかない
関係になりたいのだと思う。恋はするものじゃない。気づいたらあるものでいたい。これが今の恋愛に対する価値観だ。



付き合わなくても終わりはあるということに気づいてから、それなら自分はどんな恋愛がしたいのかひたすら考えてみた。いつまでも、やっぱり自分は無理なんだ思ってしまう自分が嫌だった。今は、過去の、いや昨日の自分の気持ちにすら共感できないぐらいに価値観が変わった気がしている。もう怖くない。


前の記事、初めて編集部のオススメに選んでいただいて、一日中ずっとわくわくるんるんしていた。沢山のスキやコメントがすごく嬉しくて、noteを始めてよかったと思った。そしてわたしのありのままの気持ちが誰かにとっての支えになれるのなら、それほど嬉しいことはない。


2021.2.4

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