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リアルなカメラの話(後半重要):写真の部屋

正直に言うと、カメラという機材にはまるで思い入れがありません。フィルムの時はまだ用途の違いや個性がありましたから、そういう気持ちは理解できたのですが、今のデジタルカメラは完全に家電製品です。家電は最新のモノが最高の性能を持ちますから、新しいモノを使えばいい、それだけのことです。

どんな趣味でも機材の話をするのが好きな人がいます。そこに「伝説」を作り出し、同好の仲間と語るのが好きならそれは趣味の問題なのでノータッチです。クルマでも時計でもキャンプ道具でもそうですが、機能、性能、目的、価値、それらの中でどの部分を自分が必要としているかを明確にすればいいだけです。

「このレアなレンズは1970年代のドイツ製で、歪みがなくシャープである」という話をする場合、希少価値、蘊蓄、性能の話を含んでいるわけですが、その歪みがなくシャープなレンズで撮ったという「写真」はどれほどのものでしょうか。レンガの壁を撮影して四隅まで歪みがなくて、MTF曲線も性能の高さを表している、というのが本質的な写真の話でないことは明らかです。

これは興味のカテゴリ分けですから、そういう話が好きな人のことは否定しませんよ、と何度も書いておきます。私が写真を始めたのはフィルムの頃からで、高校生の頃、最初に買ったのはキヤノンのF-1というシンプルなカメラです。さらに、当時は「色々なダイヤルがついていると性能がいいのではないか」と思っていたので、A-1という多機能でゴテゴテしたものを追加で買いました。

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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。