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所有と集合知。

先日あるミュージシャンと、「ニューヨーク」というコンビのネタについて話した。彼らは、出す曲がことごとくヒットしているJ-POPデュオという設定で、その作曲風景をコントにしている。

俺たちのファンのあいつらは「永遠」とか「LINEが既読にならない」とかいう言葉が好きだから歌詞にたくさん入れとけ、みたいに話し合いながら最終的に曲ができあがる。ある意味、現在の音楽業界をバカにしているわけだから、そのコントを見てイヤな気持ちにならないか、とミュージシャンに聞くと、「いや、そういうミュージシャンがいるのはよくわかっているから、自分も面白がっている」と言う。

何かを作る人にはいくつかの種族がいる。

大きくふたつに分けるとすれば、理想を追う人、創作をお金儲けと割り切っている人、だ。マイケル・ジャクソンやジョン・レノンのように超一流の人だけが、本人の理想を追う姿が経済的な成功を生む、希な存在になれる。

デザイナーの山本耀司さんが、「いいモノを作るのは簡単、売れるモノを作るのも簡単。いいモノを売るのが一番難しい」と言っていたのを若い頃にインタビュー記事で読んで、この言葉は忘れてはいけないとずっと思ってきた。

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俺が好きじゃないのは、「経済的に成功するためには理想を追ってはならない」と平然と言う人だ。これって何かというと、ヒューマニズムの欠如であり、冷血人間であるという表明だ。それを簡単に喩えてしまうと「モテない人」になる。同じ冷血人間同士が集まって盛り上がってはいるけれど、それ以外の人からは愛されない、求められない、尊敬されない人だ。

ビジネス本にある処世術やストラテジーは言語化しやすいし、「学び」みたいに低レベルの納得の仕方はあるだろう。でもそれだけだ。ビジネス以外の本当に大事なことを知らない、悲しい人に見える。

お金や経済や処世術ばかり言う人には、50億円くらいあげたい。それを求めているからツバを飛ばしながらくだらないことを言ってるんだけど、50億円あったら多分目的を見失うのではないかと思う。「それを資産運用します」とは言うんだろうが、それ以上増やしてどうする。その時にお金の使い方を知らなければ、バカみたいな高級車や数千万円の宝飾品を買うことしか思いつかない。Youtuberを見れば、元々お金を持っていなかった人がどういう使い方をするのかは明白だ。

50億円あったら何に使うかが明確であるなら、それは持っていなくても同じことだ。ミュージシャンのヤマグチさんが、「ebayで自分が欲しいレコードを調べて、アメリカの誰かが持っていることがわかったら、それは自分の家になくても同じこと」と言っていた。所有や集合知の概念の問題になるけど、元々の育ちがいい人はこうなんだよなとおもいつつ、おはようございます。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。