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チェックポイント・チャーリー:写真の部屋(無料記事)

クーベルタンとは違う意味でのアマチュアリズムが生み出す事件を日々目撃しています。あるフリーターが初めての海外旅行でNYに行ったが、その経験を「私の見たNY:トークショー」として話したいと書いていました。口も感情もアングリーと言って差し支えありません。

先週、初めてバッティングセンターに行った中学生が「私の野球理論」と言っているのと同じです。すべての出来事には需要と供給がありますが、ベルリンだか大阪だかにいるチャーリーという人が「欲しい君たちがいて、与える僕がいる」と言っていましたが、それがチェックポイントです。

これからの時代の「欲しいモノ」はほぼ無形のコンテンツだけになっていくでしょう。クルマも家も欲しくない人々がマジョリティになり、金額の差はあれど可処分所得は体験や経験に多く費やされることになるはずです。生粋のニューヨーカー、NYに40年住んでいる日本人、NYで何かを成し遂げた人、などが経験というコンテンツを売ることになりますが、どの人の話もNYに興味がある人にとっては価値ある情報でしょうし、そのトークショーにはお金を払う意義があると思います。ですから、NYに5日ほど行って写真を撮ってきましたという自分のコンテンツに「競争力がある」とピュアな心で信じ込めるアマチュアリズムに驚く、と言っているのです。

数百の都市に行ったけど、NYは特別だった。と言われれば納得がいきます。みんな数百の都市になんて行ったことがないからです。自分が知っている、もしくはそれ以下のことだけが書かれた本を誰が買って読むでしょうか。私が生まれて初めて体験したこの旅行経験は楽しかった、それは誰も否定しないのです。そこで失敗したり恥をかいたりした話を聞くのだって大好きです。でも、その貧しい経験をなぜ商品として「他人が聞きたい」と思うのかが謎です。

トークショーの客席の最前列に兼高かおるさんクラスが座っていたらどうすんだって話です。



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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。