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『斜陽』

若い人は想像もできないだろうが、かつて日本にはロックフェラーセンターを買ったりしていたイケイケの時期があった。戦後復興から経済成長を続けて、景気が悪くなることなんて考えもしなかった。

今のアジア経済を見ていると圧倒的な敗北感がある。景気後退というより、社会の精神構造がもうグローバルスタンダードに追いつけない気がするからだ。

日本の製造業が急激に発展したのは、戦後、焼け野原になって古い工場や仕組みがリセットされたからだという分析がある。それが数十年優位を保っていたのだとしたら、その時と同じような立場の新興国に取って代わられるのは当然。

アジアでは現金からクレジットカードへの移行段階を飛ばしてウェブマネーに進んでいるが、日本は既得権益を持つ業界が段階的に多くあるのでUBERなどの新規参入が阻まれる保護主義に陥っている。

シンガポールの人に聞いたらワンルームマンションの家賃が20万円くらいだという。マクドナルドのビッグマックの値段は日本よりタイの方が高く、アメリカ都市部では低所得者に認定される基準が年収700万円程度だとも聞く。

社会的には台湾で同性婚が認められようとしていても、日本では閣僚が明治時代じみたLGBT差別を繰り返す。

太宰治の『斜陽』のように、貧しいことには我慢できても、貧しくなったことを実感させられるのは辛いのかもな、と、この風景を見ながら思った。

おちゃらけた話で、申し訳ない。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。