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写真の部屋(無料記事)

尊敬する友人である土屋敏男さんと会話しているうちに、ネット上で知り合った周辺の人々。その皆が、俺が理想とする「どうしようもない大人」であることがすぐにわかった。どうしようもないというのは褒め言葉じゃないんだけど、常識に凝り固まったつまらない大人ではない、という意味。

カブトムシの住む穴を棒でほじくっていた頃からココロは何も変わらずに、立派な仕事をしているような人を尊敬する。偉くなるというのは威張るということじゃないし、偉くない人を見下すことでもない。特に男は、といってしまうと語弊があるけど、精神年齢が13歳くらいのバカ大人をよく見かける。

俺は、自分が所属する「バカ族」の中でも、おおらかなバカになりたいと思っている。土屋さんを見ているとそれを感じる。実際に会うまで土屋さんは、有吉さんを始め芸人に過酷なことをさせて面白がっているヒドいTVの人という印象しかなかった。

でも萩本欽一さんの仕事で、ものすごく緻密な仕事ぶりを目の当たりにして、ああやっぱり。と感じた。何が「やっぱり」かと言えば、真剣に緻密にやらないと、悪ふざけは成立しないのだ。あまり言うと土屋さんのイメージダウンになるからマジメさを強調はしないけど。

そこから河瀬大作さんと知り合った。リアルにお目にかかったことはなかったが、ネットで話しているうちにすぐ、河瀬さんのお宅が全焼するという大事件が起きた。想像もできない落胆や悲しさがあっただろう。土屋さんたちが「河瀬大作戦」と名づけてFacebookグループを作り、現場を掃除したり、身の回りのモノを揃えたり、仮住まいを探したりし始めた。こういうときでも、ちゃんとネーミングにはダジャレが入っているのがいい。

もし俺が同じことになったら、こんなことをしてくれる仲間がいるだろうか。そう思ってしまうほど、彼らの愛情は深かった。河瀬さんの投稿や友人とのやりとりを見ていると、会ったこともないんだけど涙が止まらなくなることが何度もあった。

全焼したお宅の中でも、書斎はやや焼け残っていたという。机の上にあって無事だった一冊の本が『ロバート・ツルッパゲとの対話』で、それを持って出てきた瞬間、見ていた人は爆笑したらしい。ありがたいことだ。火事の後片付けの場で記念撮影というのも不謹慎だけど、皆で写真を撮ろうということになった。カメラマンは「はい、チーズ」とも言いにくいので、どう言ったらいいのかを聞くと、土屋さんは「ここはやっぱり、ファイヤー!でしょう」と言ったそうだ。どこまで面白がりなのか。

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火事のあとに初めて「これから、渋谷のラジオの生放送をやるよ」というので、スタジオに会いに行った。河瀬さん、西本さん、柳瀬さんと、これが初対面だった。

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それから、俺にも何かさせてもらえることはないかと考えていた。石巻の被災地に行ったとき、全壊した家の前で家族を撮ったことがある。家族の記録である「アルバム」が流されてしまったことが何よりも悲しいと言っていた。そこで震災後の初めての一枚を撮らせてもらったのだ。とても喜んでくれた。

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それを思い出したので、できればカメラをプレゼントしたいと思っていたところ、ちょうど河瀬さんがカメラのことを書いていた。

よかったら、俺の「RX100」というコンパクトカメラを使ってくれればありがたいと思ってそう伝えた。とは言うもののじっくりカメラを見てみると、かなりハードに使っていたから傷もたくさんある。人に使ってもらうのに、これはどんなもんかなあと思った。先日たまたまカメラ屋さんに行ったら、ほとんど使われていない同じカメラを見つけたので買ってきた。

ついさっきも、「愛するものを写真で残す」という俺の投稿を、河瀬さんがシェアしてくれたのでうれしかった。たくさん写真を撮ってもらえるといいなあ。

こういうことばかり書いている「写真の部屋」。


多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。