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突然の贈り物:博士の普通の愛情|写真の部屋

14歳のときに聴いていた音楽は一生ものだと言います。さっき大貫妙子さんの『突然の贈り物』を久しぶりに聴いて泣きそうになったのですが、調べてみると、それは私が14歳のときに発表された曲でした。皆さんにもそういう曲があると思います。『突然の贈り物』の歌詞で、私が一番グッとくる部分は、

「必ず待ち合わせた 店も名前をかえた」

というところです。その前の「別れもつげないで 独りぼっちにさせた」のフレーズも勿論、切なく心にくるのですが、心情的ではない情景描写だけで表現しているのがうまいなあ、と感心します。もしかしたら私が写真を撮っていることとも関係があるかもしれません。心情は写真には写りませんが、具体的なものは残酷なまでに写すことができるからです。

昔、友人から「とても好きだった故郷のバーがなくなっていて、そこがコインパーキングになっていた」という話を聞いたことがあります。違う店になっているのではなく、宙ぶらりんで心が存在しない印象があるコインパーキングというところに悲しさを感じたのをおぼえています。今回の『カメラは、撮る人を写しているんだ。』の中にもその話をヒントに書いた一文があります。

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恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。