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高速料金:Anizine

Twitterで書いていた「ノーギャラで仕事を引き受ける無責任さ」についての話への反応が多かったけど、Twitterで書くのは限界があるからnoteにまとめておく。

実績がないうちであっても、ノーギャラで仕事をするのは得策ではないということを書いた。経験のためであるとか、何か次に繋がるとか思っても、ノーギャラで仕事を発注する人と関係を築いていても、のちのちいいことはない。

ビジネスというのは予算があるから、どんなに少なくても配分があるのが当然。たとえば純粋な制作費が1000万円あったとしたら、カメラマンやアートディレクターのギャランティは最低でもそれぞれ、5%の50万円は用意されているだろう。それを下回るとしたら、予算配分がかなり怪しい。

ビジュアル制作の場合、媒体費を含めて「予算のないモノ」は、世の中に何かを伝える広告効果がないことがほとんどだ。最低限、作った意義があるつもりでいるが、仲間うち以外は誰も知らない、ということになる。

それを引き受ける人はキャリアがない人か、能力がない人で、この「広き門」を入り口にしても先はない。ずっと低いギャラで仕事をし続ける広大な荒れ地が広がっている。以前、それを高速道路の入り口と書いたんだけど、決められた「狭き門」で高速料金を支払うことによって、整備された道を使い、速く遠くに行くことができる。

高速料金を払いたくないからと言って最初に下道を選んでしまうと、隣に見えている高速道路を見失うことになってしまう。

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友人や知り合いのノーギャラの仕事を引き受けても次に何も起こらないのは、その人たちが高速道路の下にいるから。ごく希に「今回だけはどうしてもギャラが出せない」という有意義な仕事が存在する可能性はゼロではないんだけど、その時は知っている中でも能力とキャリアのある人に頼むだろう。予算がなくても失敗はできないからだ。

プロ野球選手になるにはドラフトやテストを経て入団する。草野球をいくら頑張っていてもプロ野球の選手にはなれないことは理解できるのに、写真やデザイン、音楽などは自分がプロフェッショナルと同じことをしていると勘違いできるのが不思議だ。

そして「Anizine」と「写真の部屋」の定期購読が高速代を払うのと近いとするなら、ここからは高速に乗った、限定された人に向けて話す。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。