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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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2022年7月の記事一覧

息子さん、立派ね:Anizine

政治に理想や正解はありませんが、どんな立場の人も自分の理想を「正解」だと思いたがり、これは宗教の構造にもよく似ています。今日本で問題になっているのは強固な理想を持つ宗教団体との関わりです。

夢の話をするな:Anizine

世の中で一番つまらないのが「夢の話」だということはよく知られている。お前が寝ている間に見た物語なんて何も興味ないよ、と。 というわけで、昨日の夢と、さっき見た夢の話をしますね。二本立ての暴挙です。普段なぜ俺が夢の話をしないかというと、あまり寝ていないからです。昨日と今日は人並みに寝たので備蓄されていた夢が噴出したんでしょう。写真家であることが関係しているのかは定かではないですが、俺の夢はかなりリアルだと思います。まずは昨日の夜の夢から。 俺は南米、コロンビアのような場所に

職業を変える:Anizine

今から十数年前、ある若者向け講座の講師を二年間務めた。生徒である彼らは学生だったり無職だったり会社員だったが、何者かになろうと思ってその私塾に参加してきた。最初の講義で言ったのは、「残酷だけどおそらくこの中からひとりも世に出る人はいないだろう」という内容のことだった。職業にするだけなら何とかできるかもしれない。でもその業界で一軍になることがいかに大変かをみんな知らないと思ったからだ。 自分も偉そうに上から言うだけではなく、同じことをしてみようと思った。実はそれが写真家になる

無音部分のカット:Anizine

たとえば友人とカフェで1時間話したとして、何かとてもいいことを語り合ったなあと思っても文字に書き起こしたらビックリするほど無意味なことを言っているものです。それが「会話のグルーヴ」というものだからいいんですけど、冷静に振り返ると意味のある言葉の含有量はとても小さい。 朗読を聞くと、小説という書き言葉を声に出しているのでむしろ情報量が多すぎると感じることがあります。丁寧に文章に仕上げたものを日常的な会話と同じように耳で聴くと、なかなか濃いわけです。YouTubeで始まった、会

おフランスって何:Anizine(無料記事)

いまだにフランスの話をしているときに「おフランス」とか言う人を見るとゾッとする。60年前くらいの土着感覚が何も更新されていないんだな。一度でもフランスに行ったことがある人ならそんな言葉は使わないはずだ。 「オサレ」とか「セレブ〜」とかも同罪。「日本はどこに行っても京都や浅草や新宿で、全員がメガネで出っ歯で背が小さい」と思っている外国人と何も変わらない。 フランスではこのようにどうしようもなく趣味の悪い土産物のヴェトモンも堂々と売られている。当たり前だ。この国はディオールや