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おフランスって何:Anizine(無料記事)

いまだにフランスの話をしているときに「おフランス」とか言う人を見るとゾッとする。60年前くらいの土着感覚が何も更新されていないんだな。一度でもフランスに行ったことがある人ならそんな言葉は使わないはずだ。

「オサレ」とか「セレブ〜」とかも同罪。「日本はどこに行っても京都や浅草や新宿で、全員がメガネで出っ歯で背が小さい」と思っている外国人と何も変わらない。

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フランスではこのようにどうしようもなく趣味の悪い土産物のヴェトモンも堂々と売られている。当たり前だ。この国はディオールやエルメスだけでできあがってはいない。極東の島国のあなたたちが知っている情報がそれだけなのだ。映画を観てない人が観た人に混じって映画の印象を聞きかじって言いたがるのって、まったく無意味だとは思わないのだろうか。

また「フランス人ってプライドが高いから英語を話さないんですよね」というのもある。恐ろしいほどの田舎に行かなければ都市部では日本人の数千倍は話すよ。英語を話さないのは日本人だし、地方に行けばゼロに近い。人情で言えば暑苦しいほど困っている人のところに人が集まってくる。そういう無知ゆえの俗説とか都市伝説みたいな思い込みを解くために現場に行ってみるといい。いかにParisにはダッサい店がコンスタントにあるかがわかるし、洒落ているもののトップレベルでは日本は当然追いつかないけれど、全体で見ればダサいモノとの比率はどこでも同じだ。自分と同じ人間が住んでいる街を見るといい。

信じてはいけないのが、現地に住んでいるが「観察力」のない人の言葉。東京に住んでいながら正確に東京を表現できないどころか誤解だらけの日本人だっているんだから、いくらそこに住んでいるからと言って鵜呑みにしない方がいい。

貶すんじゃなく、回りくどく「おフランス」と言ってみせるのはオシャレぶってフランスに行く人を揶揄しているのだろうか。どちらにしても誰も得をしないよね。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

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