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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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2021年9月の記事一覧

あなたはインフルエンサーではない:Anizine

「インターネットは世界に開かれている」とかいうけど、地元の友だちとか趣味の仲間とか、同僚などとしか関わってないと思う。テキストは日本語だし。俺が書いていることは、世界はもちろんのこと、日本語が読める高松にも利尻島にも届いていないと思っている。 紐の先に石を結びつけてグルグルと回す様子をイメージして欲しい。馬鹿な子供がやるようなやつだ。 これを「影響力」の比喩として使うと、ごく一般的な我々の紐は半径10メートルくらい。その石がビュンビュン回っているのを見て、「あいつ頑張って

大阪へ:Anizine

「ミラノよりも行った回数が少ない街・大阪」という自分の中のキャッチフレーズがある。大阪にはどうも縁がないのだ。仕事で行く機会がないというのが一番の理由で、大阪にはキッチリ制作の機能があるから、東京から我々が行く必要がない。北海道や沖縄のように美しい風景を探してロケに行くこともない、というわけで、ほぼ行く機会がないのだ。 なぜか京都には理由もなく行く。理由がなくても行く場所はあるんじゃねえかと怒られそうだけど、こればかりは仕方がないのでゆるして欲しい。 大阪の人は声がデカい

◎支援ご報告:Anizine

パフォーマーへ 15,000円 ミュージシャンへ 10,000円 演劇・お花 20,000円 パソコンを買う人へ 50,000円 生活支援 40,000円 生活支援 60,000円 合計 195,000円を「Anizine」の定期購読料から支援しました。 定期購読メンバーの皆さん、いつもありがとうございます。 note「Anizine」 https://note.mu/aniwatanabe/m/m27b0f7a7a5cd

創造と消費:Anizine

たとえばテーブルの上にリンゴがひとつ置いてあったとする。 「それについて2時間話せ」と言われたらあなたはどうするだろうか。リンゴには小さい金色のラベルが貼ってあって「紅玉」と書かれているのを見るだろう。「紅玉は甘すぎないので、アップルパイなどの加工用に使われるんですよね」などと言うかもしれない。でも知っている知識がそれだけなら、たった30秒で終わってしまう。これが「情報の消費」だ。 紅玉という名前は記号であり、付随した情報を知識として知っていたとしても、それ以上のことは出

新刊『こどもの埋葬』:Anizine

Twitterのスペースでほぼ毎日、24時頃から誰かと話している。人と会ってする雑談とはいかに意味があったのかを痛感しながら。 一昨日は篠宮さんと、昨日は藤田さんと話した。篠宮さんは世界を転戦するフリーダイビングの競技者を経て、今は水中写真を撮っている人。藤田さんは以前ここで募集した「旅に行きたい人」への旅費支援に申し込んでくれた人だ。バルセロナに行きたいというので素早く支援したが、ちょうどこの状況に当たってしまって延期を余儀なくされた。早く行けるように願う。 青山ブック

フォロワー数:Anizine

フリーランスで仕事をしていると毎日違う人と会う。仕事が終わってしまって会わなくなっても引き続きその人と関わりを持っていたいとか、発言を聞き続けたいと思えば、自然とフォロワー数は増えていく。無理に珍しい情報を発信しようと思わなくても。 だから優劣という意味ではなくて、「話を聞きたくなる人」かどうかはフォロワー数によって判別できる気がする。5年もTwitterをやっていて、私はSEOコンサルです。お仕事お待ちしています、などとプロフィールに書いておきながらフォロワーが40人くら

イニシャルすら言いたくない:Anizine

とても苦手な存在。名前はおろか、イニシャルでも呼びたくない。 と言えばわかってもらえるかもしれない。あまり得意だという人は聞いたことがないので共感してくれる人は多いと思う。 ある中華料理店でのこと。俺は友人と食事をしていたんだけど、業務用のあいつがテーブルの上にあらわれた。あいつらは大きく分けて2種類、「家庭用」と飲食店などにいる「業務用」がいる。家庭用は王様のように立派な黒々とした姿で、業務用は質素な薄い茶色をしている。インパクトだけで言えば王様の圧勝なんだけど、業務用

27歳であきらめる:Anizine

昔、音楽をやっていたんですよ、という中年に会って、思うことがあった。 フリーランスの立場で仕事をしていると、若い頃は「安くて便利に頼めるヤツ」という理由でたくさんの仕事が依頼されるが、そこで「自分には他の人よりも優れた能力があるのだ」と過信した人はいつの間にか消えていく。ある程度の年齢になって「あれは便利だったから使われていたんだな」と気づいて初心に返れる人だけが生き残る。 社会に出てしばらく先輩の仕事ぶりを驚きとともに見ていた自分が、同じようなことができると錯覚し始める

意見を言わない癖:Anizine

最近起きたいくつかのことには共通点があった。 簡単に結論を言うと、「自分の意見を言わない癖」がついていること。仕事でも遊びでも、コミュニケーションのズレというのはどこにでも発生する。自分と寸分違わず同じことを考えている人なんて存在しないんだから、ズレはゼロにはならない。 『ロバート・ツルッパゲとの対話』を書いたとき、自分が言いたいことが、自分の周囲の友人たちだけではなく、本を入手できるあらゆる無関係な人に対して伝わることを想像し感謝した。俺は仲間内の価値観だけで盛り上がる

ここ数日のこと:Anizine

ソーシャルメディアを見ていると、「誰かが得をしているから、私が損をしている」という思考が見受けられる。自己責任の反対の概念で、私が報われないのは他人の責任であるという考え方。 これに関わる問題はそれほど簡単ではないし、ネット特有の、見出しのみを読んで曲解した反論をもらうのも面倒臭いので、ここからは親愛なる定期購読メンバーだけに向けて書く。