日本リーグ経験者が語る、移籍の裏側。【後編】
前編はこちら⇩
-フットサルとの両立は大変?
脇嶋:小林選手はこの間のインタビューでも話してもらったのですが、新見選手はこの1シーズン通して、クラブのビジョンでもある仕事とフットサルを両立するというところはいかがでしたか?
新見:昨シーズンはコロナの影響で仕事がほとんどテレワークになっているので、通勤時間が削られた分、時間に余裕ができました。テレワークして、練習に行って、めちゃくちゃ充実していたと思います。
脇嶋:バランスよくできているということですね。前所属チームだと週6日とか練習していた中で、今は物足りなさとかはありますか?
新見:今は練習がない日も動こうと思えば動けるので、自分の苦手なところを練習しようとか、そういう時間の使い方をできていてちょうど良いかなと思っています。
脇嶋:ご自身でジムに行って鍛えられているとかそういうことですか?
新見:知り合いのフットサル場を借りて教えてもらったり、近所のフットサル場で開放しているところに行ったりして過ごしてますね。ジムも行った方がいいんでしょうけど、、。ジムはすいません、行ってないです。行きます(笑)
脇嶋:ありがとうございます。小林選手は前のチームの時との仕事のバランスと比べるとどうですか?
小林:わたしは今くらいがちょうど良いかなって思っています。
脇嶋:前は普通に週5日で働いていたんですか?
小林:はい、そうです。今も試合がない週は週5日で勤務しています。練習頻度とか、勤務体制的には今が1番ベストだなと思っています。
脇嶋:今は週2日の練習ですが、コンディションを調整する上でもう少し練習があっても良さそうですか?
小林:火曜日の練習が半分フィジカルでボールを蹴る時間が少ないことがあるので、全員に戦術をもっと落とし込んだり、個人のフットサルの技術を身に付ける時間をさらに取れたら良いなとは思っています。チーム的にはもう1回くらい練習ができたらベストなのかなとは思っています。
脇嶋:なるほど。アニージャは比較的最近、サッカーからフットサルに転向した選手が多いイメージですよね。
小林:そうだと思います。これまでのチームだと、フットサル歴の長い選手が結構いましたね。私が今年でフットサル歴6年目なのですが、今のアニージャでは長い方だと思います。最近サッカーからフットサルに転向したフットサル歴の浅い選手が多いですね。
脇嶋:サッカーを最近までやっていたからこその強さやメリットはありますか?
小林:フットサルは結構形が決まっているプレーが多いので、相手から読みやすい部分もあると思います。そういった部分では予測が難しいプレーを自然にできることが強みだと思います。ゴール前での最後のところってやっぱり個の力が大事だと思うので、瞬間の判断で相手が予想しないプレーができるところは、フットサル歴が浅いからこそ出ている部分なのかなとは思います。
脇嶋:なるほど。全日の関東予選で日本リーグ所属のフウガさんに勝利した試合があったじゃないですか。フウガさんは個人の技術も高いし、フットサルも落とし込まれていると思うんですが、そのチームに勝てた要因にサッカー的要素があったからこそ崩せたみたいなのはあったんですか?
小林:まだ去年のその試合をやった時期ではチームとしてできることの選択肢が今よりも全然少なかったと思います。少なかったからこそ、これだけはやりきろうという意識が選手全員に浸透していて、やるべきことがはっきりしていたので、迷いなくプレー出来ていた試合かなと思います。サッカー的な要素というよりは格上に勝ちたいというモチベーションとやるべきことの浸透で勝利できたかなと思います。
脇嶋:チームとして今できることでの戦術がはまったという形ですね。
-アニージャと他チームの違いは?
脇嶋:アニージャとこれまで所属してきたチームを比較して、実際にアニージャでプレーされて実感した他チームとの違いは何かありますか?
新見:さっきも言ったように広報とかスタッフとか監督、コーチが充実しているっていうのは他のチームにはない強みだと思います。今年から練習の映像も撮ってくれているので、プレーを見返せるのも有り難いです。
脇嶋:チーム内の雰囲気はどうですか?
新見:みんな新加入選手に対しても優しいです。私が入った時も既存メンバーだけで話そうとかみたいな雰囲気はなく、みんな話しかけてくれて優しかったです!
脇嶋:女子同士でそういう派閥みたいなものは出来やすいイメージですか?
小林:そうですね。女子のチームでは表面上は1つのチームとして成り立っていても、選手個人個人がどこを目指すのかとか、モチベーションや目的がバラバラだったりするとチーム内で人間関係がギスギスしてしまう現象は起こりやすいかもしれないですね。
脇嶋:なるほど。そういうのが新生アニージャでお互いに強く要求し合えない要因の一つでもあるんですかね。
小林:モチベーションの違いとかはアニージャでは感じていません。チームとして目標や目的を明確に打ち出していて、それに対して共感できる選手が集まっているイメージです。チーム内での要求が少ないっていう部分はフットサル歴がまだ浅い選手が多く、自分の要求が合っているかどうかが分からない不安から要求し合えないに繋がっているのかなと思います。
脇嶋:なるほど。この1シーズン、コロナの影響もあって思い通りにはいっていないとは思いますが、移籍していかがでしたでしょうか?また、関東女子フットサルリーグで過ごしてみていかがでしたか?
新見:私は浦安にいた頃より試合経験を積めたので、良かったプレーも悪かったプレーも公式戦で体感できたので、そういった面ですごい良かったなって思っています。課題としては、ディフェンスのポジショニングが良くないなって思っていて、そこはずっと意識していかなきゃいけないと思っているので、継続して取り組んでいきたいです。あとは最近監督に言われている攻守共に判断スピードをあげていきたいです。
小林:私は関西、東海、日本、関東の4つのリーグを経験してきているのですが、関東リーグは今まで所属してきたリーグの中で1番リーグ内でのチーム実力差がないリーグだなと思いました。他のリーグだと大差がつく試合がたくさんあるのですが、そういった試合がほぼなくて、実力が拮抗しているリーグだと思いました。各チームにしっかりチーム戦術が落とし込まれて特徴が試合に顕著に出ているので、試合をしていても、見ていても面白いリーグだと思いました。
脇嶋:ありがとうございます。練習試合などで日本リーグのチームと対戦することもあったと思うんですけど、いかがでしたか?
新見:去年フウガと戦って2-0で勝った時、あの試合に向けてミーティングも多かったし、チームとしてここを徹底してやっていこうとか、相手のキーマンのここ良さを消そうとかっていう話があって、準備がたくさん出来ていた中で試合を迎えることができました。対戦する相手に対してしっかり良い準備をしていけば、これからも戦えるんじゃないかと思います。
小林:日本リーグのチームとは、練習試合とかはやらせてもらっていますが、やっぱり去年の段階では結構差があるなと個人的に感じていました。一発勝負の舞台で一度勝つことはできましたが、練習試合では日本リーグのチームには全て負けています。日本リーグのチームのプレー強度に慣れていかないと年間通してリーグで勝っていくことは難しいかなと思っています。そこに慣れていったり一戦一戦しっかり準備して臨んでいければ、今の戦力でも日本リーグでやっていくことはできるんじゃないかなとは思っています。フットサルって実力差が大きくあったとしても得点が取れたりするケースが結構あるので、準備やモチベーション、雰囲気次第ではいける可能性もあると思います。
脇嶋:そう言った意味では、サッカーより魅力的だったりするんですかね。
小林:そうですね。サッカーと比べると、格下と思われるチームが格上に勝利する試合、ジャイアントキリングとか、そういうのが起きやすいと思っていて、男子の全日本でも、F2のチームが優勝したり、、。
脇嶋:トルエーラ柏(現:SHINAGAWA CITY FUTSAL CLUB)ですね。
小林:そうです、そうです。一戦一戦対策を練ったり、チームの勢い次第でジャイアントキリングが結構起きるスポーツだとは思います。
- 日本リーグで悩んでいる選手に伝えたいこと
脇嶋:日本リーグから前向きに関東リーグに移籍されて、日本リーグでくすぶってる選手に関東リーグでチャレンジする魅力などをお伝えできればいいなと思うんですけど、何かありますか?
新見:最初に私が話したみたいに、練習で学んだことを出す機会が少ない選手がいるのであれば、選手として試合に出たいと思うので、日本リーグで学んだことを生かす場として関東リーグで挑戦してみるのも良いかなと思います。
小林:日本リーグでなかなか出場機会が得られなくて、香穂(新見選手)のようにくすぶっている選手がいるのであれば、環境を変えて、改めてもう一度新しい気持ちで自分が頑張れる環境に身を置くこともいいんじゃないかなと思います。
脇嶋:なるほど。と思ってもなかなか移籍を決断するのは難しいと思うんですが、実際に日本リーグにはどういう選手が多かった印象ですか?
小林:競技のために自分の他の生活を犠牲にしてしまっている選手が多かった印象です。
新見:浦安にいた人たちは日本代表になりたくて集まっている選手が多かったので、オフの日でもジムに行ったりしている人が多かったです。日本リーグと言っても女子フットサルはまだプロはないので、もっとフットサルが普及して選手達の待遇が良くなっていけばいいなと思います。
脇嶋:日本リーグに所属している選手は、フットサルを優先できる仕事をやっている中で、仕事に不満を抱えているから辞めることはないってことですか?
新見:練習時間に間に合うように仕事を探したり、フットサルの為だったらあまり仕事を選んでない選手もいたかと思います。私自身もフットサルの他に何かやりたいことは分からなかった人なので、今仕事があることは有難いですね。
脇嶋:純粋にフットサルがしたくて、仕事ではやりたいことがないっていう選手が多いっていうイメージですかね。
新見:そういう選手の方が多いような気がしますね。フットサルを始める前はやりたかった職業についていてもフットサルに出会ってからは定時で上がれる仕事に変えたっていう選手もいたり、色々かなって思いますけど、、。
脇嶋:フットサルに軸を持っていて、かつ仕事でやりたいことがないパターンが多いのか、それとも本当はやりたいけどフットサルをやるために諦めているパターンが本当は多いのか、どうなんですかね。
小林:私の印象としては、前者、、、仕事で特にやりたいことがないからとりあえずフットサルを頑張れる環境があれば何でも仕事はしますっていう選手が多いのかなと思います。女子サッカーも女子フットサルも競技ができれば仕事は何でもOKっていう選手が多い印象です。実際私もそうでした。ただ、実際に競技引退を考えたときにこの先どうやって生きていくのか、やりたいこともやれることも何も無く危機感を抱きました。トップアスリートこそ競技を辞めた後どうやって生きていくのか、この先の自分のキャリアについて考えてもらえる機会が増えればいいかなと思います。
-来シーズンの意気込みと展望
脇嶋:最後に来シーズンの意気込みと今後の野望をお願いいたします。
新見:まずは去年は行けなかった全日本フットサル選手権で全国大会に今シーズンは出たいです。また関東リーグで優勝して、地域チャンピオンズリーグ出場はチームとしても掲げている目標なので、達成したいです。私は走るのが得意なのでスピードを活かしたプレーを強みにしていきたいというのと、さっき言ったようにディフェンス面や判断スピードにまだ課題があるので、そこをもっと突き詰めて解決していきたいなと思ってます。
小林:来シーズンの目標としては、香穂(小林選手)が言っていたように関東リーグ2連覇達成して、今年中止になってしまった地域チャンピオンズリーグに出場して優勝したいです。あとは今年出場できなかった全日本選手権に出場したいというところがあります。日本リーグのチームと公式戦をして、勝ってみたいという思いもあるので、全日本選手権で勝ち上がって、色んなチームと本番の場で試合が出来たらいいなと思います。それと野望ですかね?
脇嶋:そうです。動画編集ですかね。
小林:動画編集(笑)今はアニージャの広報で動画や画像等の制作をやっていて、それが面白いので、そこで将来的に個人でも稼げるようになるためのスキルを身に付けたいと思って勉強しています。今年中にそのスキルで1円でもいいからお金が生めるようになればいいなと思っています。
脇嶋:選手兼広報スタッフということで、野望ってことですね。
小林:そんな感じです。
脇嶋:今年中にAdobe全部マスターして下さい(笑)
小林:頑張ります(笑)
脇嶋:ありがとうございます。ちょうど1時間半になりましたので、インタビューは終了とさせていただきます。本日はありがとうございました!
小林&新見:ありがとうございました!
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