ひたすらスケッチした一年
こんにちは、イラストレーター/コンセプトデザイナーの神保です!(シンボと読みます。)
他のアーティストと同様、上手くなるために毎日試行錯誤しているのですが、去年は特に「スケッチ」に力を入れた一年でした。
たくさんの枚数を描くために何をしたのか、どんな風に描いてるのか、結果なにが得られたのか、改めて振り返ってみたいと思います!
スケッチってそもそもなに?
スケッチと言っても色々ありますが、僕がやっていたのは「観察スケッチ」「ロケーションドローイング」などと呼ばれています。やり方はシンプルで、外に出てその場で描く、だけです。画材や掛かった時間などは気にしません。大事なのは写真や動画から描くのではなく、その場で自分の目で見て描くことです。
具体的にはこんな感じで描いてます
雨の日も寒い日もありましたが、とにかく街に出て一年間描き続けてみました。深夜にスケッチしてたら警察の方に声をかけられたり、、(もちろん絵を描いてるだけなのでなんの問題もありませんでした!笑)
なんでわざわざ直接見て描くの? 写真でいいじゃん。って思う方もいるかもしれませんが、僕にとっての理由は以下です。
・写真よりも目で直接見た方が情報量が多く勉強になる
・その時の音や匂い、空気感ごと感じられる(個人的にこれがめっちゃ大事)
一年続けて得た物
2021年は上であげた感じのスケッチを250〜300枚くらい描きました。スケッチを始めて何年か経ちますが、一番たくさん描いた年だったと思います。
今回の記事ではスケッチの方法や画材など色々紹介しようと思いますが、たくさん描いて得た物がなんだったかを先に書いておきます。そこに興味を持ってもらえたらその先も読み進めてもらえると嬉しいです!
得た物
・描くスピード(クイックドローイング、ラフ段階)
元々得意ではなかったクイックなドローイングが改善された実感があります! つい最近絵コンテ的な作業をしたのですが、描く時間が以前同じ作業した時の60%くらいになりました。専門でもないしほとんどやってこなかった作業ですが、苦手意識が取れたのも大きいかも。
・明度をまとめる意識
去年は筆ペン3階調のスケッチが多かったので、めちゃめちゃ明度の勉強になりました。明度を3つ使うのは基本と言われますが、改めて大事さを再確認。逆に3つあれば大体何でも描ける自信もつきました。これについては別記事で書きたいなーと思ってます。
・好きなものを見つける力
外でスケッチをするということは、描く物や人、シーンを自分で探すということです。街をフラフラしながら「あの人なんかソワソワしてる、待ち合わせの雰囲気出てていいなぁ」「何でこれが道に放置されてるの?こんな人の落とし物だったら面白いな」と、観察と妄想を織り交ぜて状況を自分で解釈するようになりました。そのおかげで自分が興味を持てるものの幅が広がった気がします。
・他のアーティストとのつながり
スケッチをしてる人ってそんなに多くはないので、スケッチ好き同士仲良くなれます。笑 会社で働いていると社外のアーティストとの交流って少なかったりするのでスケッチの集まりに行って交流の道具として使えるのもありがたい。
振り返ってみると得たのは技術よりも意識だったなと思います。もちろん意識によって技術も向上するのでやってよかったなと思います。
続けるための工夫
数をこなすにはとにかく続けることが大切ですが、自分なりに気付いたスケッチを続けるためのコツを挙げてみようと思います。
・スケッチの方法を時間別に数種類持っておく
スケッチを続ける上で大事にしたのはいかにスケッチを生活スタイルの一部にするか、ということです。自分の生活スタイルを見返して、定期的に空く時間を見つけます。
例えば会社の昼休み。昼休みはちゃんとご飯も食べたいので使える時間は20分以内。なので白黒筆ペンで1ページだけ。
会社の終わりにカフェで描くiPadのカラーは1時間以内。
休日の約束は30分前に着くようにしてその場でスケッチ。
こんな感じにタイミング、時間、スケッチ方法を複数持って生活スタイルに当てはめていくと、無理なく続けられました。友達から急に「ちょっと待ち合わせに遅れる!」と言われても、「おっ、じゃあ白黒スケッチできるわ!」くらいで心の余裕を持てます。笑
・飽きに対応する
正直、毎日描いていると飽きてきます。笑
そこで、なんか飽きたなと思った時に他の画材を試せるように画材を複数持ち歩くようにしてみました。具体的には筆ペン+ボールペン+iPad、たまに色鉛筆や不透明水彩など。描いていてマンネリしてきたな、飽きたなと感じたらその絵が途中でも画材を変えます。画材を変える→描き方が変わる→頭の使い方が変わる、という変化が起きるので新鮮な気持ちで描き続けられるのが自分には合ってました。
この頭の切り替えは他のことでも使えて、制作中にラフでいいアイデア出せないなと感じた時に画材を変えるとすんなり出たりする、ということにも気付きました。色々応用が効きそうだなとニヤニヤしてます。
・スケッチ仲間を作る
一緒にスケッチしてくれた仲間にはかなり助けられました!1人で淡々と続けられる人には必要ないと思いますが、僕には無理です。笑
モチベーション上がらないときは人を誘って一緒に描くようにしていました。会社の同僚でもいいし、ツイッターで募ってもいいし。単純に横で誰かが絵を描いてるだけでモチベーションって上がります(僕は)。ちなみにangooには部活制度が有って、スケッチ部もあります。活動は月一くらいですがスケッチしにいく良いきっかけになってます。
・完璧を目指さない
去年はスケッチを作品作りという意識ではやりませんでした。スポーツで言うと作品作り(仕事・個人制作)は試合、スケッチは普段の筋トレやランニングなど基礎体力作りのような位置づけという感じ。
なので上手く描けなくても凹まない、切り替えて次の練習しよーくらいで続けます。失敗したスケッチを何時間もかけて直そうとするより、さっさと切り上げて次の日またチャレンジする方がよっぽど楽だし上手くなる気がします。
※振り返りをする時はある程度まとまった枚数を見て振り返ると良いなと思います。一枚一枚見てもわかりにくい癖や傾向がよく見えるので描いたスケッチは月一くらいでまとめて見返してました。
画材と実例
・スケッチブック
ここ数年はこのトンコハウスさんのスケッチブックを使っています。
特に気に入っている点は
--紙質:絵具や筆ペンも透けない(もちろん鉛筆でもよく描ける)
--サイズ:小さな鞄にもポケットにも入る
--製本:ページが剥がれない、めっちゃ丈夫
以前はモレスキンのもうちょっと大きなサイズのものを使っていたのですが、持ち運びやすさと言う点でトンコハウス製に切り替えました。
・ペン類
去年一番たくさん使ったのは筆ペンです。ぺんてるのグレー(薄墨)と黒の2本で描いています。黒の方はコンビニでも買えるので便利でおすすめです!
ボールペンでのスケッチもよくやりました。ハッチングでちょこちょこ描いていくのも楽しくて気に入ってます! 普段は無印良品の70円くらいで売ってる黒いやつを使ってます。
他には色鉛筆も使ってみてました。こちらは去年の秋から始めたんですが、まだあんまり使い方がわかってないですね。
最後にiPad、なんと言っても色が塗れる! 日本のカフェは絵具が使えないところも多いので、気軽にペインティングができるのはやっぱりありがたいですね。ソフトはprocreateです。
次の一年への改善点
得たものも沢山あった去年のスケッチですが、できずに悔いが残ることもありました。それはスケッチ時の「デザイン」です。こちらは今年の課題にしようと思います。
具体的には構図の切り取り方、デフォルメ具合、描く物描かない物の取捨選択、を意識して、スケッチ時に狙った絵になる精度を上げたい。もちろん目的は「観察」なのですが、観察した「らしさ」を絵のデザイン要素を使ってもっと出せるようになりたいなと思います。
多分最初は時間がかかるので頻度を落としてでも一回のスケッチ時間を長めにとって挑戦してみたいなと思ってます!
お気に入りのスケッチを並べてみる
最後にお気に入りのスケッチを並べて記事は終わりです!
みなさん読んでくれてありがとうございました。「スケッチ行こうぜ」の誘い待ってます!(都内で誘われたらほんとに行きます。笑)
以上です、ありがとうございました!