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140字小説「真夜中の風船」

娘たちは真夜中に風船を飛ばします。零れ落ちた甘い吐息を、眠れぬ夜に流した涙を、焦がれる想いと閉じ込めて。三日月にぶつかって割れた風船から恋の欠片が降ってきます。甘くほろ苦いその欠片が恋する人の枕元に届いたら恋が叶う。そんな言い伝えを信じた娘たちが、今夜も風船を飛ばしているのです。

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