【No.15】フィリピンの治安ってどうなの?
学校の送迎サービスを利用すれば安心
フィリピンの情報をネットやガイドブックで調べていると、タクシーでぼられた、意外に銃社会らしい、観光地でストリートチルドレンに小銭をねだられた、スリに遭ったなど、フィリピンに行くのが怖くなるような情報のオンパレード。私も、一人で取材に出かけるときは、「生きて帰れないかも……」とマジで思っていた。
でも、留学目的で行く場合、治安については心配しなくていい、と言える。理由は、多くの学校が、有料だが送迎サービスを行っているから。距離にもよるけれど、たとえば私が短期留学をした学校は、マニラのニノイ・アキノ国際空港から車で4~5時間かかったが、5000円程度で送迎してくれた。
取材のときは高速バスに乗って自力で行ったが、そのときは片道700ペソ(約1400円)。バスに比べると学校の送迎料金はだいぶ高いけれど、安全・安心料だと思えば安いものだ。海外は初めてという人、フィリピンは治安が悪いから心配という人には絶対におすすめ。
留学中は、学校内に缶詰状態で勉強漬けの日々を送る。フィリピンの学校は、24時間警備つきのゲートで囲まれた安全な環境の中に、教室、寮、食堂、学校によってはプールやジムなど、生活に必要なすべてが揃っている。留学期間中、一歩も外に出なくても困ることはない。つまり、学校にいる限りは、危険な目に遭うことはない。
でも、ずっとキャンパス内にいたら息が詰まってしまう。平日は外出禁止という学校も、土日は外出許可が出るところがほとんどなので、たいていの留学生は外に出て、観光やショッピングを楽しんでいる。冷房がよくきいた大型ショッピングモールはもあるし、ローカルな市場をぶらぶら見て歩くのはかなり楽しい。昼間一人で歩いていても特に危険は感じない。
ただ、暗い道やスラム街のようなところを一人で歩かない、リュックやバッグの口を開けたまま歩かない、など最低限の注意は怠らないこと。
ATMでカードの情報をスキミングされるなどの被害は、私は実際には遭ったことはないけれど、口コミではよく聞く。ATMを利用するときは、空港や大型ショッピングモール内のものを利用したほうが安心。語学学校では初日のオリエンテーションの後、日用品を購入できるショッピングモールや安全なATMの場所を把握できるよう、市内ツアーを開催してくれる学校も多い。
タクシーでぼられないために
フィリピンでよくあるのはタクシーでぼられること。メーターの無いタクシーも多く、降りるときになって高額な料金をふっかけられるという話もよく聞く話。
私は幸いそのような経験はなかったが、心配なら、ウーバー(Uber)やグラブ(Grab)タクシー(スマホのアプリからタクシーを直接呼ぶことができるサービス。あらかじめ、行先を提示し、料金見た上で運転手を選ぶことができる。スマホで運転手の顔写真や過去の評価も見られるので安心)を使うのがおススメ。
日本の感覚だと正規のタクシーのほうが安全というイメージがあるけれど、フィリピンでは逆。現地の人でさえ、「フィリピンのタクシーはぼられるし道を知らない運転手も多い。ウーバーのほうが、乗る前に料金がわかるし、GPSを使うから道に迷う心配がなくて安心」という。
やたら親切なフィリピン人には気をつけよう
観光地に行くときは注意が必要。親しげに話しかけてくるフィリピン人には要注意。と言っている私が、親しげに話しかけてくるマリオという少年にまんまとやられたのだが……。
取材でセブ島を訪れていたときのこと、少し自由時間ができたので、女子カメラマンのU子ちゃんと、ATMでお金を下ろしがてら、スーパーで買い物でもしようと、タクシーで近くのスーパーに立ち寄った。タクシーではぼられることもなく無事、目的地で降りたんだけど、降りたとたん、「日本人?」と話しかけてきたのがマリオだったのだ。
「レストラン行くの?いいところあるよ」「お土産物を買うならこっちにお店があるよ」など、片言の日本語で話しかけてきて、いらないと言ってもどこまでもついてくる。スーパーに入っても、ぴったりついて、「○○売り場はこっち」だの「これはドリアン」だの、親切にガイドをしてくれる。
こっちは、ただビールが買いたいだけだし、ビール売場なんてすぐ見つかるし、と思うんだけど、お構いなしについてくる。うっとうしいなと思いつつ、マリオの屈託のなさにほだされて、「バナナチップはどのブランドのがおススメ?」「このスナック菓子は、何味がおいしいの?」と、会話を楽しみつつ買い物をすることにした。
で、「親切にしてくれたから、別れ際にガイド料として100ペソくらいあげるか」という気になっていた。
が、レジで財布からお金を出して支払いをすませたとたん、「はい、ガイド料、一人300ペソね」とマリオ。一気に現実にもどってしまった。ああ、これがフィリピンなのか! やられた。でも、300ペソといっても日本円にして600円程度。ぶりぶり怒るほどでもない。が、言われたまま払うのもしゃくだからU子ちゃんと2人で300ペソにしてもらった。
フィリピンでは、命を狙われるような危険な目に遭うことはそうそうないとしても、この手の被害はちょこちょこあると覚悟したほうがいいのかも。
フィリピンでは、移動手段としてジープニーという、ジープを改造したようなバスがよく見られる。どこまで乗っても7ペソとお安くて便利なのだが、降り際に、さっとスマホや財布などをすられることがままあるらしい。スマホに夢中になっている間にバッグから財布をすられた、という留学生もいた。自分の身の周りのものは常にしっかりガードして、ぼんやりしないほうがよさそうだ。(つづく)
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