寂しそうな人ってなんだかみんな空の缶チューハイが灰皿だった

孤独に慣れちゃったんだよ、と言って悲しそうに煙草の煙をふう、と吐き出した君の横顔が夜に溶けそうで抱きしめたくなった。まつ毛が揺れて、睡眠薬をたくさん飲んでブランコを漕いだこと、思い出した。慣れちゃったんじゃなくって、成れちゃったんでしょう、成ってきたんでしょう、あなたは。きっとあなたはどんな世界に置かれたとしても「行く」と言うのだろう、だから好きだった。自由と十字架は似てるって、当たり前だろ、そんなこと僕だって言えるさ。サブカルチャーみたいな映画しか好きになれないことすら凡庸で、なりたい人を探すだけの旅。君はその人ともう逢えないんじゃない、その人を取り込んだんだよ、だからずっと死ぬまで一緒なんだよって泣きそうな目をして言った、大丈夫、君は才能があるから生きていける、生きる才能がなくても、生きるを輝かせる才能があるから生きていける。子宮の入口をとんとんと叩いて、隠していた女の子の部分がどばっと溢れてくる、40センチのナプキンですら足りないほどの威力、交わることで何かが産まれるって、ほんとうですか、コウノトリなんて空想上の生物なんですか、雲の上でユニコーンに乗って、14歳の頃の原宿を思い出していた。透明にならなきゃ息すらできないなんて、そんなの嘘だったのに、僕はあの汚い川に飛び込んで透明になりたかった、汚いおじさんと同化しているみたいで気持ち悪かった、傷つかなきゃリアルを感じられないなんてドマゾだなあとか言って笑う。全然眠くないの、壊さずに殺さずに愛して、なんて傲慢ですか。君と僕との隣接地点を最寄り駅と呼ぶことにしよう、ああ、やっと来てくれた、初夏。運命的な季節を無駄にするくらいだったら死んだ方がマシだ、あの時好きだった彼はもういない。全選択、からの左矢印のボタンを押して一気に文章が消えた時に感じる快楽、忘れた人から大人になっていくのかな。団地の横にあるドンキは、夜になるとバイクの音がうるさくて、どうしても、死んでしまったあなたの影を思い出してしまいます。あの時、笑ってくれてありがとね。光った先で逢いたいな、君と。何度だって生まれ変われるよ、何度壊されようと。君の傷を愛しています。それはあみだくじのように僕へと続いていたものだから。たとえゴールがここじゃなかったとしても出逢えてよかった、よかったよ、って言ってわんわん泣きながら抱き合うお酒の場で、幸福なんていう言葉を使わなくてもそれに近づけたような気がした。光るものは上にしかないって気づいてから、カーテンを開ける日が増えました。全部無駄なんかじゃなかったんだよ。全部、全部、全部、全部、全部全部全部全部全部全部。なあんだ。えへへ、僕さ、僕さ、本気で生きてて、本当によかった。本当に、本当によかった。孤独で狂いそうになったあの夜を何度も越したその先で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?