milkyway
地獄産まれなわけなかった、ママのおっぱいを飲みながら考えていた、この先もずうっとこの幸せが続くのかって考えていた、そんなわけないってわかりながら。牧場に行って透明に近い陽射しを浴びていた。君のことも君のこともちゃんと好きだったよ、愛していた人はほんの少ししかいなかったことを不幸だなんて思わない。情報量の多い夢で現実を遮断するために飲む睡眠薬も、情報量の多い感情で自分は自分の人生を生きなくてはならないという当たり前のことを遮断するために見るSNSも全部やめて、麦わら帽子をおさえながらフェリーに乗って、海が見たかった。僕に向けていた笑顔を僕以外に見せないでください、祈りを極めたらそれは呪いになるの?いつかは死んでしまうんだよ、全て。才能が現実を殺すのならば才能なんていらなかった、言語化できる程度の感情なんてないのと一緒だし。攻撃性すら予測変換に見たことないカタカナとして生まれ変われる可能性があって、口に出したくなかった感受性を形にした瞬間にそれは暴力になるから気持ちよくなんてなりたくない。助けてって簡単に言える人はいいよな、何から追われているかもわからないくせに偉そうに。孤独の部屋から脱出するためには鍵が必要で、化粧が必要で、服が必要で、金が必要で、ぼく、もう、いやなんです、ぼく、もう、ここがいやで、いやで。引越しをしました。仲が良かったひとと縁を切りました。アカウントを消しました。これで始めからになる気がした。春の匂いが好きだった。入学式を思い出すから。桜って、死の匂いと似ていますよね。君の消えそうな後ろ姿を盗撮しておけばよかった、全てを燃やしてしまったから君は遺体よりも高尚な存在。記憶を消してもういちど会えたらな、あの季節にあの場所で。待ち合わせをしようって約束した場所にはぼくしか来なかった。池袋のミルキーウェイの星座のパフェ、食べようって約束したじゃん。池袋のプラネタリウム、見ようねって約束したじゃん。七夕、会おうねって約束したじゃん。うそつき。君とぼくは綺麗だったから引き裂かれたんだよって天の川が言った。天の声すらミュートして自分勝手に交わってみたかった、2020年の冬にだけ見えた星座、なんだか憶えてる?
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