神様になんかならなくたって誰かを神様になんかしなくたってきみはきみとして幸せになるべくして生まれたんだよ

ぼくの優しさが誰にも搾取されないまま、骨になり、灰になり、あの青い空に溶けてほしいと願って、ぼくはずっと夏が好き。夏は、祈りの季節。だから死者が帰ってくる季節なんですね、きっとそんなことはないのに、祈ればそれは本当になるから、ひとは祈り続ける。ぼくが生きているのが痛いと感じた時に神様と定義づけてしまったひとが全然神様なんかじゃないって気づいてから、何年も経っていた。それなのに、あなたはぼくの神様です、と言葉にすればそれが本当になる気がして、言い続けていた、騙し続けていたんだ、祈りと騙しって似ているのかもしれない、洗脳なんかじゃない。脳を洗ってなんかいない、脳を騙していただけ、心地いい煙に巻かれて、地獄によく似た香りの煙が充満した狭い部屋で、美しさによく似た哲学をなぞり続けていた。若さを無駄にしたなんて思わないで、全部あるべくしてあったことだから。青が好きでした、全てを許してくれるような色だから。映画館でポップコーンを噛む音が木霊する、世界が美しく見えるのは、きっと美しいきみがいるから、美しいきみを美しいと感じられる心を持てたぼくがいるから。優しいひとしかすきにならないアニメや映画に陶酔すれば、優しくなれると思った。強くなるって、殺すことじゃないんだよって、今更になって気づいて泣いている。夜が大嫌いなら眠ればいいだけだよ。嫌いな時間はきみ自身でシャットアウトすればいい。お酒と睡眠薬を大量に飲んで死んだお姉ちゃんのこと、本当はずっと好きだった。本当はきらめきたくなんかなかったくせに。となりのトトロが流れています、ねえ、見たよね、あの時、絶対に見たよね。約束が、生きる理由になるのなら、いくらだって約束をしよう、きみが生きていてくれるのならばなんだっていい。もう殺さなくたっていいんだよって抱きしめる、そんなひとになりたい、神様になんてなれなくたっていい。きみが失ったと思い込んでいるすべてのきらめきが海に反射して、船の上で麦わら帽子をおさえている。100を超えるバリエーションの笑顔を作れるきみがふとした時に見せる完璧な笑顔が太陽よりも眩しかったこと、ぼくは、誰にも言うことのないまま、ただ、きれいだ、きれいだなあ、と思って、死にたい。完全体こそが正しさなんていう固い価値観なんて捨てて、もう言葉にしなくたっていい。ぼくが、ここに、あたたかい場所に、いるよ。きみも。

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