kindness

優しさがひとを壊すなら優しさなんていらないと思って逃げるように家を飛び出した、ぼくはひとを愛してみたかったんです、心底軽蔑するほどに。地元に友達なんてひとりもいなかった、地元ノリを知っているひとたちが羨ましくてリアルの世界に行けない、インターネットの海でひたすらにもがき続けている、居心地のよすぎる地獄は天国に酷似しているから自分を騙してばかりいる。騙すことなんて簡単だった、抱きしめることすら。全部嘘だよって言って突き放してやりたかった、本当は全部本当だったんだけどなって1人暗い部屋で泣くのが好きで好きで。ばかじゃねえのまじで、元恋人にカッターナイフで抉られた心の傷がまだ癒えない。ブスって言われる程度で折れるくらいの信条持って生きてきたわけじゃないし、そんなの誰だって言えるしね。もっと信念持って嫌えよ、ぼくのこと。薄っぺらいラブソングに感化される年齢の子のこと、ばかだなんて思わない。ぼくのいちばん嫌いな言葉は孤独です、だってそんなものないから。ないものを勝手に美しくするなよ、てめえの地獄に引き摺り込むな、てめえもてめえもてめえもてめえも勝手に幸せになりやがれよ。この世に本物の天才も本物の神様もいないことだけが救いで、くそみてえな人生をくそみてえな顔して生きることが美徳だって決めてからぼくはぼくの流す汗で溺死しそうだ。ソウルナンバーすら毎秒ごとに変わる世界の中できみは何を信じて生きていくの?行けよ、正しいからさ。正解の証明なんててめえでしか確かめられないだろって頭を電柱に何度も打ち付けた。何度も何度も何度も何度も。ねえ、ぼくちゃんと笑えているかな。ねえ、ぼくちゃんとぼくをやれているかな。嘘を金にして虚無を買う毎日に唾を吐いて思い出ばかりを美化する、死んだものばかりを愛する手癖が治らない。死ねよって言えば簡単にひとりになれた。生き続ける理由を探し続けることが人生だなんてそんなくだらねえこと言うなよ。答えなんてないから美しい。すね毛を剃ったら血が出た、こんなもんで痛いと思えるぼくでよかったんかな。垢抜けることは産まれ続けるアカウントを垢消しし続けるってことだ。消し去りたいと願った全ての一人称が変わる時、また見える景色が変わる。その瞬間しか愛せなかったね、弱かったはずの果てしなく透明に近かったぼくらは。

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