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アイドルのキャッチフレーズはどのように作られるか

前回、アイドルとキャッチフレーズの関係について記事にした。

今回は、現役広告代理店営業社員の元アイドル、乙川杏珠が実例の紹介をしながらキャッチフレーズの作り方を解説していこうと思う。

キャッチフレーズの実例

天音利那の場合

まずは、彼女のキャッチフレーズを紹介しよう

きてぃ りなてぃ ゆってぃ!
みんなが好きなてぃと言えば?
\りなてぃー!/

〇〇(グループ名)のムードメーカー!MC担当福岡出身りなてぃこと天音利梛です!
現在タレントとして活動中の天音利那氏

彼女のキャッチフレーズはなんと言っても、「みんなが好きなてぃと言えば?」とファンに問いかけ、ファンが「りなてぃー!」と答えるコールアンドレスポンスが楽しい。

また、冒頭の『きてぃ りなてぃ ゆってぃ!』も語感がよく、耳馴染みが良い。

キャッチフレーズから読み取れる彼女の特徴

  • ムードメーカー

  • MC担当(喋りが得意)

  • 福岡出身

  • ダジャレ好き(?)

陽向あいみの場合

彼女のキャッチフレーズは以下の通り

12時の鐘がなりました、魔法が解けてもあいみ姫!
私の王子様は貴方です!
現在アーティストとして活動中の陽向あいみ氏

彼女のキャッチフレーズの特徴は「私の王子様は貴方です!」と言いながらファンを指差すことだろう。指を差されたファンは仮に彼女のファンでなかったとしても心を撃ち抜かれてしまうのだ。

ちなみに、なぜ彼女のあだ名が『あいみ姫』なのかと聞いてみたら、ティアラをつけて出演した際にメンバーから「あいみ姫だね!」と言われ、そこから彼女のあだ名が決まったとのこと。

キャッチフレーズから読み取れる彼女の特徴

  • 姫というキャラクター

  • 王道アイドル路線

  • すこし不思議ちゃん要素あり(?)

キャッチフレーズのパターンを知る

キャッチフレーズにはいくつもの要素が詰め込まれているが、その要素を分類分けしていこうと思う。

パターン1:キャラクター要素を取り入れる

これは、陽向あいみの例でも取り上げた、アイドル自身のキャラクターをキャッチフレーズに取り入れるパターンである。

例えば、グループ内の最年少であれば『○○(グループ名)の妹』となるし、ツンデレキャラであれば『時にはツンツン 時にはデレデレ ツンデレ王国の女王様』(元AKB48 多田愛佳)となる。

パターン2:出身地を取り入れる

これは、天音利那の例でも取り上げたパターンである。

王道パターンは、『○○県から来ました!△△(あだ名)こと、◇◇(名前)です!』元AKB48小嶋陽菜のキャッチフレーズは、まさにこのパターンで『埼玉県から来ました!こじはること小嶋陽菜です。』である。

パターン3:年齢を取り入れる

前回の記事でも紹介した、私、乙川杏珠のアイドル時代のキャッチフレーズ『アイドル的に17歳』もこのパターンに分類されるであろう。(実年齢ではないので特殊例であると思うが)

例えば、『高校1年生!15歳の○○(名前)です!』といったキャッチフレーズである。地下アイドルのライブに足を運んだことのある人が一度は聞いたことがあるであろうキャッチフレーズの1つだ。また、言わずと知れた元AKB48の前田敦子も『19歳の前田敦子です。』としている。

パターン4:見た目の特徴を取り入れる

これはとてもわかりやすく、覚えやすいキャッチフレーズのひとつでもある。

例えば、元AKB48の高橋みなみのキャッチフレーズは『ちっちゃくたって大丈ブイ!』や『見かけはちょっぴりヤンキー、心はガラスのハート』となっている。また、メガネや髪型、チャームポイントなどの特徴をキャッチフレーズに取り入れることも出来る。

パターン5:あだ名を取り入れる

天音利那や陽向あいみもこれに当てはまる。このパターンのキャッチフレーズではあだ名を覚えてもらいやすい。

主な例としては、元AKB48 松原夏海の『みんみんみん、なっつみん!』や『ピッピッピ!ピッピッピ!ピッピッピッピッピ!○○ぴー!』(元アイドル某氏のキャッチフレーズより)などがわかりやすいであろう。

パターン6:その他

キャッチフレーズの中には、由来や本人との関連性がまったくわからない不思議なキャッチフレーズもある。

また、『何年に一度の逸材』のようなインパクト性を重視したキャッチフレーズも存在する。

キャッチフレーズをつくってみよう!

これまで、数名のアイドルのキャッチフレーズを取り上げて数パターンに分類してきた。

次は実際に、キャッチフレーズをつくってみようと思う。

お題は私、『乙川杏珠』でつくってみる。

ステップ1:アピールポイントを挙げる

キャッチフレーズに盛り込めるような個性(アピールポイント)を挙げていく。このステップでは出来るだけ多く個性を挙げておくのがよい。今回は例として挙げるので少なめに挙げる。

乙川杏珠のアピールポイント

  • 25歳

  • 独身

  • 元地下アイドル

  • 現OL

  • 好きな食べ物:ラーメン、ビール

  • あだ名:杏珠さん

自分が思っているアピールポイントだけでなく、他の人に自分のアピールポイントはどこだと思うかと質問すると、自分では気づかなかった魅力に気付くこともある。

ステップ2:実際に組み立ててみる

実際に組み立てて、何案か候補を出してみようと思う。

独身アラサー元地下アイドル
ひよっこ社会人、25歳
ピーナッツではありません、落花生です
社会人3年目、まだ左薬指は空いています♡
太陽燦々、杏珠さん

ステップ3:作ったキャッチフレーズの分析

先ほど、5つのキャッチフレーズ候補を挙げたが、これらを一度分類毎に分けてみようと思う。

『キャッチフレーズ』(該当部分)のように分析していく。

パターン1:キャラクター要素を取り入れる

  • 『独身アラサー元地下アイドル』(独身)

  • 『ひよっこ社会人、25歳』(ひよっこ社会人)

  • 『社会人3年目、まだ左薬指は空いています♡』(比喩:独身)

パターン2:出身地を取り入れる

  • 『ピーナッツではありません、落花生です』(比喩:千葉県)

パターン3:年齢を取り入れる

  • 『独身アラサー元地下アイドル』(アラサー)

  • 『ひよっこ社会人、25歳』(25歳)

  • 『社会人3年目、まだ左薬指は空いています♡』(社会人3年目)

パターン4:見た目の特徴を取り入れる

  • 該当なし

パターン5:あだ名を取り入れる

  • 『太陽燦々、杏珠さん』

パターン6:その他

  • 『ピーナッツではありません、落花生です』

以上のような分析結果となる。

ステップ4:キャッチフレーズの選定

ここまで来たらあとは、どのキャッチフレーズが自分自身をより表現できているかを考え、選ぶだけである。

さて、どのキャッチフレーズが一番しっくりくるだろうか。
ひとつずつ見ていこう。

独身アラサー元地下アイドル
なんとなく、ネガティブな印象になる気がするが、口にした時のリズム感はとても良い。ネガティブキャラであればぴったりではないかと思う。

ひよっこ社会人、25歳
独断と偏見であるが、『ひよっこ』と言われると身長が小さい子を想像してしまう。ただ、なんとなくかわいい。25歳という年齢にネガティブさを感じない。

ピーナッツではありません、落花生です
一見、何の話かと思ってしまうが、インパクトは与えられるかと思う。また、勘のいい人はすぐ出身地が千葉県であるということを汲み取ってくれると思うが、そうでない人も一定数は存在するであろう。

社会人3年目、まだ左薬指は空いています♡
なんだか昭和感溢れるキャッチフレーズになってしまった。昭和のアイドルであればしっくりくるが、令和のこの時代にこのキャッチフレーズが通用するのかは甚だ疑問である。懐メロアイドル等であればとても可愛らしいと思う。

太陽燦々、杏珠さん
これはもう、言うまでもなく明るい。群を抜いて明るい。抜群に明るい。『元気キャラ』もしくは『担当カラー:オレンジ』といったところであろうか。


本来であれば、ファンの人にアンケートを取ったり、事務所のマネージャーさんと相談をしたりして、どのキャッチフレーズが自分に一番合っていると思うかという第三者の意見を取り入れるべきであると思うが、今回は私自身の好みだけで決めて行こうと思う。

正直、このキャッチフレーズがめちゃくちゃ気に入った!絶対にこれがいい!と思えるものは候補に出せていないが、候補から選ぶとするならば『独身アラサー元地下アイドル』を選びたいと思う。

つまり、今後の自己紹介でキャッチフレーズが必要な時は『独身アラサー元地下アイドルの、杏珠さんこと、乙川杏珠です!』となる。
一般人の自己紹介でキャッチフレーズが必要な場面はないが。

最後に

アイドル戦国時代と呼ばれる昨今、様々なアイドルのキャッチフレーズを耳にすることがあるだろう。

グループの人数が多ければ多いほど、キャッチフレーズのみでいかに自分をアピールできるか、ということが重要になってくる。

現役アイドルにはこのキャッチフレーズの重要性を理解し、是非個性的なキャッチフレーズを作ってもらいたいと思う。

印象に残るキャッチフレーズが、ファンとアイドルを繋ぐきっかけになりうるのだ。


取材協力

今回、記事を書くにあたって取材に協力してくれた2名を紹介する。

天音利那

彼女自身がオタクということもあり、オタク力を活かしたYouTubeが大人気。
彼女のワードセンスが光るその他SNSも魅力のひとつだ。

陽向あいみ

彼女の魅力はなんといっても、圧倒的な歌唱力だ。
ふわふわとした雰囲気からは想像もできないような力強い歌声で人々を魅了する。
8/28(日)には五反田にて彼女の生誕祭が予定されている。

(左)陽向あいみ (中)天音利那 (右)乙川杏珠

本文中一部敬称略にて記載しております。
本文中に登場するキャッチフレーズは全て独自調べによるもの。(2022/8/18現在)

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