術後2年経過して思い出す

9月11日でちょうど術後2年がたった。あの時は2年後にこんなに普通の生活をしているなんて考えてなかった。でも想像もしてなかったって言うのはちょっと違って、全然考えてなかった。手術が終わった後に目を覚ますかどうか、そこだけが手術室に入るときに気にしていたことだった。
入るときのことはよく覚えてない。でも1回目の手術の時もそうだったけど、自分の足で歩いて手術台までいった。家族が見送ってくれた。私は前の日に手紙なんか書いちゃって、いろいろ思うところがあって少し泣きそうだったけど、自分ができる限りの笑顔で手術室の中に入った。みんなが手術作業着やらなんやら着ている中で、下着もつけずペラペラな手術着だけを羽織った自分は何だか変な感じだなあと思った。1回目の手術室はあんまり覚えてないけど、2回目の手術の時のことは結構覚えている。大きいテレビみたいなモニターが何個かあって、大きいライトがあって、管がたくさんあって。かたい手術台に乗って、担当の看護婦さんと麻酔医さんとお話をした。病室で入れたルートから麻酔入れますって言われた時点でも澤村先生には会えなかった。先生に会いたかった。もし起きなかったら先生に礼言えないと思ったから。だから看護師さんに先生によろしく言っておいてくださいと伝えた。看護師さんはわかったよ~もうすぐ来ると思うけどね、と笑った。患者を不安にさせないように、たくさん訓練を積んでいるって今は思う。話やすいだけじゃなくて、頼りがいがあって芯の強さを感じる。おじいちゃんの訪問看護に来てくれていた看護師さんにも感じた、あの強さ。あれは女性独特の強さだと思う。やわらかくて強靭なあのしなやかさを自分も手に入れたいと思う。お話しながら麻酔が点滴から入ってきて、数秒もしたら強制的に眠らされるみたいな、瞼が落ちて意識が落ちていくのを自分でも感じた。効き始めたとき少しだけ抵抗したけど、すぐやめた。意識を手放すってああいう感覚のことだと思う。


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