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【書評】 これからの教育を面白くする!さる先生の学校ゲームチェンジ


学校のゲームチェンジが始まった

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2020年は世界が大きく変化しました。
マスクの着用が当たり前になり、テレワークが普及するなど、今までは一握りの人たちのローカルルールが浸透しています。
社会生活を1つのゲームと捉えると、そのルールが変わり続けているといえます。これは学校も例外ではありません。
タブレット端末の前倒し導入やオンライン授業の普及など、今までの学校にはなかったルールが入ってきました。
新時代の学校を、「これからの教育を面白くする!さる先生の学校ゲームチェンジ」を通して考えます。

優れ力 < 異なり力

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私たちが受けてきた、そして、行っている教育の多くは、児童生徒が「より効率的に」同一の学びを進める力を伸ばすことに注力しています。
本書では、その力を「優れ力」と表現しています。
そのため、授業が上手な先生=定時間内により多くの知識を習熟させ、使うことができるようにさせる先生をイメージする方も多いのではないでしょうか?
ここにもゲームチェンジが起きています。
今後は、児童生徒が自分だけの見方を生かし、他の人とちがう考え方を模索する力が求められています。
本書では、その力を「異なり力」と表現しています。
なぜ、「優れ力」より「異なり力」が求められるか?
それは、社会が成熟期に入り、より良いものをより簡単に手に入れることが簡単になったからです。
例えば、同レベルのスマホが同じような値段で手に入ったり、今までは人力が必要だった機械操作がAIに代替されつつあります。
同一のことを素早くできるというスキルより、他の人にはつくれない価値を見出すことのほうが求められるということを意識したいです。

新学習指導要領の観点とゲームチェンジ

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小学校は今年度から、中学校は来年度からスタートの新学習指導要領の大きなゲームチェンジは、観点の変更です。

「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性等」の3観点に統一されました。

知識・技能

「知識・技能」については、優れ力に当てはまります。
従来のゲーム(社会)では、知識・技能が重宝されました。
一定以上の知識・技能をもっていることに価値があったのです。
しかし、ゲームチェンジが起こり、知識・技能は新たな何かを生み出すためのヒントになるのです。
東大王の伊沢拓司さんが魅力的なのは、彼がもっている知識を上手に使い、他の人には生み出せないアイデアを創造しているからだと思います。


筆者はこの知識・技能の範囲は、より短時間で身につけ、創造的な学習の時間を確保すべきだと考えています。

思考力・判断力・表現力

「思考力・判断力・表現力」については、知識・技能の分野で基礎を固めた後には、自分なりの解釈や表現を生み出す力を伸ばすべきだと考えています。
例えば、基礎的な文章はグーグル翻訳に代替できます。
しかし、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」のようなアイデアあふれるキャッチコピーを作ることは、AIや他の人にはできない表現力です。
ここでも異なり力を生かすことを主張しています。

学びに向かう力・人間性

「学びに向かう力・人間性」については、「粘り強い取組」「自らの学習を調整」の2つの見方が求められています。
ここは大きなゲームチェンジです。
例えば、従来の単語テストでは、最初から100点とれる生徒も、最初は10点で、最後に100点になった生徒は同列の評価しかできませんでした。しかし、最初から100点の生徒がそこから一歩進んで学習に取り組まない場合は、評価が下がるということになります。
つまり、児童生徒が学習の内容や方法を自分で調整する機会を提供することが教師の役割になるのです。

学校のゲームチェンジは、教師の働き方や生き方にも大きな影響を与えます。ぜひ、本書を読み、新たなゲームに合わせたアップデートをしてみてはいかがでしょうか?



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