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メニューを一緒に覗き込むといつもよりお腹が空くような気がしないかい?


久しぶりの美術館
人それぞれ足を止める場所は違うもの
そんなら当たり前を
知らないひとのそれと
知っているひとのそれとそれとでは
感じ方はまた違うものだと思った

私はね戦争を嫌いつつ
きょうだいが赴くことを止められなかった
母を思わず責めてしまう詩に
何度も足を向けてしまっていたんだよ

日々は新しいことを知ることと
再認識の繰り返しだ


お料理を食べ終わる頃
私はすっかり聞き役として
その場に馴染ませてもらっていることを
天井あたりに旋回する小鳥が
確認し終えていた

話を聞くことはもちろん好きだが
話をしているひとの顔と
話を聞いているひとの顔とを
交互に見ることが好きだ

ことば以上につながっていて
目には見えないものが連なっている


知らないでいたことがいつの間にか
当たり前になってしまっていたと気がつくのは、
誰かとどこかに出かけた時だと思った
暮らしの軸足が変わるうち
はじめて見た時のことよりも
見慣れてしまった感覚の方が強くなっている

誰かとどこかに出かけると
はじめて見た時の私も一緒に連れている
ような気持ちがする

あの日歩いたことをまだ覚えている


そうか、ひとりで見られることには
限界があるからこそ
寄り集まって、見聞きしたことを
伝え合うのだよね

知らない土地のお祭りのこと
一度もしたことのない競技のこと
海の向こうの外国のこと
世の中にはたくさんの素晴らしいアートが
あるということ

私はいったい何を伝えられるのだろう
そう思いながら、それを考えて話したらきっと
陳腐なものになってしまうのだろうな

私は私の日々を生きて
それを話せる機会を作ることができたなら
少しは喜んでもらえるかもしれない

曇り空の方が私にはまぶしく感じる
街の賑わいも、誰かの生き方やおはなしも
とてもまぶしいけれど心地が良い
いつも勝ち負けや批評で
自分を高めるために誰かを下に見るような
ことばかりしていたらそうは思わないとは思う

感謝は何度言っても良いし
早く伝えた方が良いと改めて学んだから
急いで伝えなくちゃ

ありがとう


たんなるにっき(その127)

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