見出し画像

追想サンセット

白熱灯を眺めるうちに
視界は輪郭を失ってゆく
バス停を降りてから
向こう側が見えない坂道を
延々と昇り続けたあの日のことを
今でも覚えている
真夜中の静かさの中で
本当が嘘になってくれまいかと
収まる気配のない鼓動の分だけ
願い続けていた
祈ることが無意味だと揶揄されようと
この感受性が気を引くためのものだと
馬鹿にされようとも
私は見えない血を流し続けているし
私は想うことも祈ることも
やめることはできないでいる
目の前にある全てのものが化け物に見える
揺るぎない時間の重さと過去の亡霊に追われる
のは歌詞のなかの戯言だなんて
私は少しも思えないのだから
過ぎていった過去の方が
これから見る未来よりもずっとずっと
鮮明に見えるのはもう仕方のないことだもの

たんなるにっき(その114)

よろしければサポートをお願いします。自費出版(紙の本)の費用に充てたいと思います