途切れない浮雲の隙間から見える星のようだよ
お仕事が終わってから出かけると
通勤した人たちの帰り道と一緒になる
いつもよりぐったりと疲れた感じに
見えないのは幾分涼しくなったから
だろうか
抑えた気持ちを仕舞い込むみたいに
私も長袖を着ている
◇
久しぶりに来た目的地の駅は
さほど時間を経ていないのに季節を
ふたつくらい飛び越えたみたいに
変わっていて、少しショックに近い
感覚をおぼえる
変わりゆく景色にワクワクよりも
寂しさしか抱かないのは保守的だから
なわけではない
◇
親戚のおうちみたいにあたたかく
迎えてくれる行きつけになった美容院
親戚のおうちに行くみたいに少しだけ
緊張してしまう人見知りの私
それを隠すつもりで会話が途切れないように
話すから人懐っこい感じに見えるの
かもしれないな
◇
自分がシャンプー台に横たわっている姿を
幽体離脱でもして見られたらいいのに
滑稽だろうなあと思うのよね
変に気を遣って呼吸を浅めにして
ガーゼ越しに目が合うことのないように
しっかりと閉じる
それにしてもいつもシャンプーが丁寧
何人分を洗ってくれてるのかしら、と
思うくらい時間をかけてくれる
◇
『今日はどうしますか』の問いって
『最近調子どう?』と仕事で聞かれるのと
同じ感じがするのは最近ずっと髪型を
変えていないのをお互いに知ってるから
なのだけれど、それでもこのやり取りが
無駄とは思わない
◇
髪の毛を切りに来るたびに私は忙しく
してるんだなあと思い返す
切りに来る頻度も時間もそうだけれど
会話をしてると驚かれるから
美容院でSDGsを話題にするとは思わなかった
SDGsを意識してるからカラーをやめることに
した、というお客様がいた、というのは
美容師さんも私も思うところがあって
少し盛り上がったけれど、それはまたいつか
◇
一見すると関係のなさそうなこともどこかで
思いがけずつながっている
♪知らない人から特別な人に、なったり
昨日の敵は今日の友、になったり
どんなに近くても忘れて忘れられたり
消えない浮雲の連なりに見える星のようだよ
たんなるにっき(その57)
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