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途切れない浮雲の隙間から見える星のようだよ

お仕事が終わってから出かけると
通勤した人たちの帰り道と一緒になる
いつもよりぐったりと疲れた感じに
見えないのは幾分涼しくなったから
だろうか
抑えた気持ちを仕舞い込むみたいに
私も長袖を着ている



久しぶりに来た目的地の駅は
さほど時間を経ていないのに季節を
ふたつくらい飛び越えたみたいに
変わっていて、少しショックに近い
感覚をおぼえる
変わりゆく景色にワクワクよりも
寂しさしか抱かないのは保守的だから
なわけではない



親戚のおうちみたいにあたたかく
迎えてくれる行きつけになった美容院
親戚のおうちに行くみたいに少しだけ
緊張してしまう人見知りの私
それを隠すつもりで会話が途切れないように
話すから人懐っこい感じに見えるの
かもしれないな



自分がシャンプー台に横たわっている姿を
幽体離脱でもして見られたらいいのに
滑稽だろうなあと思うのよね
変に気を遣って呼吸を浅めにして
ガーゼ越しに目が合うことのないように
しっかりと閉じる
それにしてもいつもシャンプーが丁寧
何人分を洗ってくれてるのかしら、と
思うくらい時間をかけてくれる



『今日はどうしますか』の問いって
『最近調子どう?』と仕事で聞かれるのと
同じ感じがするのは最近ずっと髪型を
変えていないのをお互いに知ってるから
なのだけれど、それでもこのやり取りが
無駄とは思わない



髪の毛を切りに来るたびに私は忙しく
してるんだなあと思い返す
切りに来る頻度も時間もそうだけれど
会話をしてると驚かれるから

美容院でSDGsを話題にするとは思わなかった
SDGsを意識してるからカラーをやめることに
した、というお客様がいた、というのは
美容師さんも私も思うところがあって
少し盛り上がったけれど、それはまたいつか



一見すると関係のなさそうなこともどこかで
思いがけずつながっている
♪知らない人から特別な人に、なったり
昨日の敵は今日の友、になったり
どんなに近くても忘れて忘れられたり
消えない浮雲の連なりに見える星のようだよ

たんなるにっき(その57)

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