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1/75ゆれ花弁

風が幾分やわらいできた頃
白い馬の群れが横切るような感覚をおぼえた
ゆっくりと煙のようであったけれど
明確な意思を持っているようであったから
風に流されるそれとは面構えが違っていた
泣いたことは数えきれないけれど
自分の泣き顔は見たことがなくて
自分の亡骸も見ることはないだろうから
いつ終わりを振り返れば良いのか
と不意に思ってそうして
それが何の意味もないことだと唇をすぼめた
遺すことをそれに近いものとして
拘ってもみたけれど
撮り溜めた満開の桜を見返すことなく
次の桜を愛でるように
時が振り子ではないことを知ったから
裸足で長く留まることは
もうやめてしまった


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