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ライブレポ:JAPAN JAM 2021 @蘇我スポーツ公園 2021.5.4

 「JAPAN JAM 2021」。
 例年埼玉のVIVA LA ROCKに行っていることが多く、このフェスは初、蘇我駅に降り立ったのも初となった。
 初のJAPAN JAMはご存じの通り、コロナ禍での開催のため、集客の制限、アルコール類の販売の禁止など通常とは大きく異なる体制での開催となった。
 2021年4月下旬に緊急事態宣言の発令が決定したときはフェスの中止も覚悟したが、予定通り開催すると発表され、自分も当日の行動などに気を付けながら蘇我へ向かった。
 駅からフェス会場に向かうまで某政党の選挙カーがうるさかったが、会場に入ってしまえば会場特有のBGMによって一気にフェス気分を高めることができた。
 あと久しぶりのフェス飯が美味しく感じた。普段の3倍くらい。
 食べながら、ついにフェスに帰ってこれたんだなあとセンチメンタルな気分になった。まだライブ1組も観ていないのに。

OKAMOTO'S

 主催の渋谷陽一氏から「OKAMOTO'Sが出るからJAPAN JAMは大丈夫」と言われるほどの信頼を寄せられていたOKAMOTO'S。ここ数年の曲は数曲しか知らなかったのだが、そんなの関係なしに初っ端の「History」(だんだんとビルドアップしていく構成がおもしろい)、「Dance To Moonlight」で目いっぱい踊れた(もちろんマス内で)。
 この日はサポートキーボード&コーラスとしてBRIAN SHINSEKAIが加わった5人編成のライブだったのだが、キーボードの音色がメンバー4人の強烈すぎる演奏に負けることなく、むしろ長年この編成でライブをしていたかのように(5人編成でのライブはここ1年くらいで行われるようになった)自然に鳴っていた。特に「Welcome My Friend」と出だしがもろRed Hot Chili Peppers「Can't Stop」風味なミクスチャーソング「Young Japanese」のライブアレンジ(コーラスも含めて)が気に入った。

 やっぱりガチで演奏が上手い人たちが自信を持って音楽を楽しんでいるのは、観ていてこちらも楽しい気分になる。
 最後の「90'S TOKYO BOYS」のセッションまで、全身で極上の演奏を体感することができた。

セットリスト

1.History
2.Dance To Moonlight
3.Welcome My Friend
4.Complication
5.Young Japanese
6.BROTHER
7.90'S TOKYO BOYS

内訳

・9th Album『KNO WHERE』3曲。
・7th Album『NO MORE MUSIC』2曲。
・2nd EP『Welcome My Friend』1曲。
・1st Best Album『10'S BEST』1曲。

※2021/10/1修正。

ゲスの極み乙女。

 観るのはいつ以来か調べたら2016年の「VIVA LA ROCK」以来だった。
 後半には休日課長、ちゃんMARI、ほな・いこかそれぞれにソロが用意されるなど(JAPAN JAMっぽいキーボードソロ、休日課長のJAPAN JAMっぽいダンスはよくわからなかったが)、OKAMOTO'S同様卓越された演奏技術を見せつける。
 セットリストは一応初期から現在までオールタイムに楽曲が並んでいるが、聴いていてやはり2013年から2015年あたりの楽曲(1,2,3,6,7曲目)の無双っぷりがすごかった。
 こればかりは最近の曲がどうのこうの、というよりも『両成敗』までの一連のリリースのインパクトが凄すぎたというか。あのリリースのたびに音楽シーンを塗り替えていく感じはやはりすごかったんだなあ、と回想していた。紅白出場まで停車駅一切なしでたどり着いたようなものだった。
 だからこそ流れを一気に止めた「アレ」はやはり今更だが勿体なかった・・・。
 とはいえ久しぶりにゲスのパフォーマンスを観れて良かった。やはり勢いとかではなくたしかな技術に裏打ちされた演奏はずっと観ていられる。

セットリスト

1.猟奇的なキスを私にして
2.デジタルモグラ
3.ロマンスがありあまる
4.はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした
5.キラーボールをもう一度
6.パラレルスペック
7.キラーボール

内訳

・5th Album『ストリーミング、CD、レコード』1曲。
・4th Album『好きなら問わない』1曲。
・2nd Album『両成敗』1曲。
・1st Album『魅力がすごいよ』2曲。
・3rd Mini Album『みんなノーマル』1曲。
・2nd Mini Album『踊れないなら、ゲスになってしまえよ』1曲。

SUPER BEAVER

 最初に手を挙げてと言われたことでこの日の1曲目が「美しい日」とすぐわかったくらいこの曲をずっと聴きたかった。
 過剰なメッセージソングはあまり得意ではないのだが、SUPER BEAVERの曲はなぜか自然と入ってくる。
 そして2019年の「COUNTDOWN JAPAN 19/20」でもそうだったのだが、SUPER BEAVERのライブでは1曲ずつ渋谷による語りが入る。2曲続けて演奏することは少なくともフェスではない。
 これだけ語りを入れてもライブのリズムが崩れないのってもうある種の才能に近い。
 それでもってボーカルだけでなくバンド全員が同じ方向を見ている姿勢が演奏からも伝わってきた。
 シティポップやヒップホップなどがシーンのトレンドに食い込んでくるなかでここまで愚直にストレートなギターロックを鳴らすバンドも珍しくなってきたが、ガチな直球はやっぱり強い。
 声が出せなくても心の中では大合唱になっていた。

セットリスト

1.美しい日
2.閃光
3.突破口
4.青い春
5.予感
6.アイラヴユー
7.さよなら絶望

内訳

・7th Album『アイラヴユー』4曲。
・6th Album『歓声前夜』2曲。
・5th Album『27』1曲。

Novelbright

 フェスだと自分の好み関係なく、「流行りもの」という理由で観に行ってしまうミーハー人間なのでこの日も当然「Novelbright」を観にいく。
 歌上手い。そりゃ路上ライブの動画なんてSNSに載せたらバズるよ。
 あとはシンガロングする箇所(「Morning Light」の冒頭など)がカラオケになっていたのはこの状況で声を出せないからだろうか。シンガロングできたら気持ちいいだろうな。
 また観るかはわからないけど、いい時間だった。

セットリスト

1.Sunny drop
2.Morning Light
3.おはようワールド
4.ツキミソウ
5.ハミングバード
6.Walking with you
7.青春旗
8.拝啓、親愛なる君へ

内訳

・2nd Album『開幕宣言』4曲。
・1st Album『WONDERLAND』1曲。
・2nd Mini Album『「EN.」』1曲。
・1st Mini Album『SKYWALK』2曲。

スキマスイッチ

 ホーン隊も含むベテランバンドメンバーを引き連れた大所帯でのパフォーマンスがお馴染みのスキマスイッチ。
 「奏 (かなで)」「Ah Yeah!!」「全力少年」といった定番のナンバーも久しぶりに生で聴くと妙な安心感を覚える。
 だがこの日自分にとっては「ボクノート」を初めて生で聴けたことが大きすぎた。

 「ドラえもん のび太の恐竜2006」主題歌として多くの人にも認知されているだろう。
 この映画や「ドラえもん」映画シリーズ全体に関しては思い入れが強すぎるためここでは省略するが、早い話がこの曲をずっと聴きたかった。
 フェスではバラードとしてほぼ必ず「奏 (かなで)」を披露しており、もちろんこの日も含め、毎回イントロが鳴らされたときの会場のどよめきも含め楽しんでいた。
 だが本心では「ボクノート」はやってくれないのだろうかと思うこともあった。生歌で「今僕が紡いでいく言葉のカケラ 一つずつ折り重なって詩になる」なんて歌ってくれたら間違いなく発狂するのに、と。
 そして2021年5月4日、常田がピアノを弾きだしたときに「まさか?」と心の中が勝手にざわざわし、その後はただただ大橋が歌う歌を嚙み締めた。ワンフレーズも逃したくなかった。
 この日が記念日になった瞬間でもあった。
 「ボクノート」をやってくれて本当にありがとうございました。

セットリスト

1.ユリーカ
2.吠えろ!
3.奏 (かなで)
4.Ah Yeah!!
5.全力少年
6.ボクノート

内訳

・8th Album『Hot Milk』1曲。
・6th Album『スキマスイッチ』1曲。
・3rd Album『夕風ブレンド』1曲。
・2nd Album『空創クリップ』1曲。
・1st Album『夏雲ノイズ』1曲。
・2nd Best Album『POPMAN'S WORLD 〜All Time Best 2003-2013〜』1曲。

※2021/10/1修正。

秋山黄色

 エレファントカシマシとかの系譜になるのかもしれない。それくらい剥き出し。
 一応ソロアーティストではあるがバンドメンバーの激しい演奏(特にギター)も含め、完全にバンドとして出来上がっていた様子だった。
 最後の「やさぐれカイドー」ではステージの最前に寝転び、半分身を投げ出した状態でギターを弾く秋山黄色の姿が印象的だった。ロッキンオン主催のフェスには演者がステージから降りてはいけない、というルールがあるがそれをギリギリで守りながらも刺激的なパフォーマンスを魅せた。
 強いて言うなら2021年3月にリリースした最新アルバム『FIZZY POP SYNDROME』からは「アイデンティティ」のみだったのは何か意図があったのだろうか。昨年に出演する予定だったフェスで披露することのできなかった楽曲をまずはやりたい、という思いがあるのだろうか。
 それにしてもただ叫び、ただギターをかき鳴らす。清々しいほどにロックの衝動に任せた真っ直ぐなステージだった。
 世界中でロックが下火になろうと、やはり時にはこういった音楽を求めてしまうのも性なのかもしれない。

セットリスト

1.猿上がりシティーポップ
2.アイデンティティ
3.モノローグ
4.Caffeine
5.とうこうのはて
6.クソフラペチーノ
7.やさぐれカイドー

内訳

・2nd Album『FIZZY POP SYNDROME』1曲。
・1st Album『From DROPOUT』4曲。
・1st Mini Album『Hello my shoes』1曲。
・アルバム未収録シングル曲 1曲。

KEYTALK

 なんか懐かしかった。
 一時期はフェスの流行に合わせて多くのバンドが「踊れるギターロック」を前面に打ち出した楽曲を演奏していた。
 その筆頭がKEYTALKであり、高速でキャッチ―な楽曲を武器にフェスのステージを駆け上がっていった。
 自分がKEYTALKのライブを観るのは2017年年末以来であり、その後のKEYTALKの新譜(『DON'T STOP THE MUSIC』)をあまり熱心に聴いていなかったため、今はどのような曲をライブでやっているのか、まだ「MONSTER DANCE」でみんな一緒にあの振り付けを踊っているのか、など様々な点でも興味があった。
 そして本番、見事にフェスセトリだった。「YURAMEKI SUMMER」をやっていないくらいか。
 この日は首藤のボーカルが少し聴こえづらかった点はあるが、2021年でも相変わらずKEYTALKのライブの盛り上がりはすごかった。もはやフェスにおいてある種のブランドになっているようだった。そして「MONSTER DANCE」はまだあの振り付けをみんなやっていた。
 最後が「桜花爛漫」だったのが個人的にはツボ。純粋に良い曲。

セットリスト

1.物販
2.Summer Venus
3.BUBBLE-GUM MAGIC
4.Love me
5.DROP2
6.MURASAKI
7.太陽系リフレイン
8.MONSTER DANCE
9.桜花爛漫

内訳

・5th Album『DON'T STOP THE MUSIC』2曲。
・3rd Album『PARADISE』2曲。
・2nd Album『HOT!』2曲。
・1st Album『OVERTONE』1曲。
・Indies Best Album『KTEP COMPLETE』2曲。

緑黄色社会

 緑黄色社会は2020年に傑作アルバム『SINGALONG』をリリースし、収録曲の「Mela!」がダンス動画などでバズるなどして一気にブレイクしたが、その間ライブは数えるほどしかできていなかった。
 自分も2019年12月の昭和女子大学 人見記念講堂公演以来に緑黄色社会を観るので、『SINGALONG』のヒット曲を聴けることも含め、とても楽しみにしていた。
 そして当日のライブ、多くの観客が集まる中、自分は1曲目「sabotage」のイントロのピアノの時点で来てよかった~!!となった。それくらいあのイントロで魔法にかけられたようだった。

 音響の調子が悪かったからか、前半ボーカルの長屋が歌いづらそうにしていたのだけが残念だった(2曲目「たとえたとえ」では袖のスタッフに音を上げるよう指示していた)。
 それでも早くもYouTubeの再生回数が1200万回再生を突破している(2021年5月11日現在)名バラード「結晶」やあの大ヒット曲「Mela!」を生で聴けたのはとても喜ばしかった。前半歌いづらそうだった長屋のボーカルもなんとか調子を掴んだようで、持ち前の並外れた歌唱力を後半は存分に発揮していた。
 2019年12月28日の「COUNTDOWN JAPAN 19/20」でのKing Gnu、Official髭男dism、あいみょんなど、まさに大ブレイクしている瞬間の(そしてチケットが著しく取りづらくなっている)アーティストのライブが比較的簡単に観られるのもフェスの醍醐味の一つだと考えているが、この日の緑黄色社会のライブもまさにバンドの今の勢いがそのまま反映されたライブだった。
 7月のワンマンではもっとすごい歌を聴かせてくれそうで今から楽しみでしょうがない。

セットリスト

1.sabotage
2.たとえたとえ
3.Shout Baby
4.LADYBUG
5.結晶
6.Mela!
7.あのころ見た光

内訳

・3rd Album『Actor』2曲。
・2nd Album『SINGALONG』4曲。
・アルバム未収録カップリング曲 1曲。

※2022/1/26修正。

THE ORAL CIGARETTES

 KEYTALK同様こちらも久しぶりにライブを観る。
 オーラルも2020年のアルバム『SUCK MY WORLD』のツアーが中止になるなど、コロナの影響を大きく食らったバンドの一つである。
 自分は最近のセットリスト(年始の「ONAKAMA」を含む)を追っていなかったため、バンドがどのようなモードでライブを行うのかは気になった。
 開いてみれば今まで発表したオリジナルアルバム5作から最低1曲、さらにインディーズ時代のミニアルバムから「Mr.ファントム」も披露されるなど、オールタイムな選曲となった。
 オーラルの楽曲も観客のコーラスによって成り立つ楽曲が多いが、声援の不在を忘れるくらい、観客の手拍子や拍手が大きく、オーラルのファンの強さにも圧倒された。

セットリスト

1.Dream In Drive
2.5150
3.Shine Holder
4.狂乱 Hey Kids!! 
5.Mr.ファントム
6.起死回生STORY
7.BLACK MEMORY

内訳

・5th Album『SUCK MY WORLD』2曲。
・4th Album『Kisses and Kills』1曲。
・3rd Album『UNOFFICIAL』1曲。
・2nd Album『FIXION』1曲。
・1st Album『The BKW Show!!』1曲。
・1st Mini Album『オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証』1曲。

Base Ball Bear

 元祖高速四つ打ちロックの帰還、とも言えるほど清々しいフェスセトリ。
 もちろんこの日披露された全曲が四つ打ちではないが、「ELECTRIC SUMMER」が日本における高速四つ打ちの原点である、という言説もあるほどのバンドが、ここまで四つ打ちの代表曲を多く披露したことはなかなかのことである(なお肝心の「ELECTRIC SUMMER」は2016年大晦日の「COUNTDOWN JAPAN 16/17」以来約4年半披露されていない)。

 この日のライブ、1曲目から「17才」、2曲目には「short hair」とこれほど夕方の野外に似合う出だしはないぞ。

 特に2017年のROCK IN JAPAN FESTIVALでPARK  STAGEトリを飾ったときもそうだったが、夕方野外で聴く「short hair」のエモさよ。曲中にある小出の絶叫もいつも以上に伸びやかに聞こえた。そして相変わらず演奏うまい。
 2021年3月にリリースされこの日も3曲目に披露された「SYUUU」はまさかの高速四つ打ちという、ある意味時代との逆行ともいえる楽曲だった。

 それもあってか、ライブも含めてベボベのモード自体が再びそういうモードに向かっていっているのかもしれない。実際、Base Ball Bearは2021年3月20日に「69号室の住人」という番組に出演した際、「周りが四つ打ちをやらなくなるにつれて今度は四つ打ち最高!というモードになった」と話していた。
 この日のセットリストはこの後も「changes」「Stairway Generation」といった高速四つ打ち曲であり、次々とタイアップを獲得するなどバンドとして世間的に一番勢いがすごかった3rd Album『(WHAT IS THE) LOVE & POP?』期のタイアップシングルが連続で演奏されるなど、会場を盛り上げると同時に、自分たちの武器である四つ打ちを再確認するような構成を仕掛けてくる。
 だが一方で「すべては君のせいで」というフェスで演奏するのは珍しいシティポップ文脈にある楽曲を入れてくるのも隙がない。
 というかこの曲、ベボベが一時的にメンバー以外の音を入れることを解禁していた時期の曲(ベボベは基本同期音を一切入れないことで有名である)だが、3人だけで演奏するとまったく印象の違う演奏となった。

 四つ打ちの代表曲に新曲など新旧入り乱れながら、3人だけのタイトな演奏は安定感。
 それにしても最後の日没間際で風も吹くなかでの「BREEEEZE GIRL」。神々しかった。

 個人的にはサポートなしの完全な3人体制になってから初めて「short hair」と「BREEEEZE GIRL」を初めて観れたことや相変わらずの演奏の凄さ、小出のサングラスに関するMCも含めて、この日のライブは個人的に今まで観たベボベのライブでトップクラスに感動した。
 あ~、やっぱベボベってすごい。今年は結成20周年&メジャーデビュー15周年だしベボベに関する記事書きたい。
 ベボベ、控えめに言って最高だった。

セットリスト

1.17才
2.short hair
3.SYUUU
4.すべては君のせいで
5.changes
6.Stairway Generation
7.ドライブ
8.BREEEEZE GIRL

内訳

・9th Album『DIARY KEY』2曲。
・7th Album『光源』1曲。
・4th Album『新呼吸』1曲。
・3rd Album『(WHAT IS THE) LOVE & POP?』3曲。
・2nd Album『十七歳』1曲。

※2021/10/1修正。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

 やっぱアジカンはトリにふさわしい。
 この日のセットリストは近年フェスで披露されている楽曲ばかりで、楽曲自体の目新しさはまったくなかった。
 でも感動した。この日一番。
 何というかいつもの曲だからこそ、フェスという場所に帰ってこれた、という感覚が強かったのかもしれない。
 UK色の強い新曲「ダイアローグ」から始まり、「荒野を歩け」でふらふらと踊り、「ループ & ループ」で飛び跳ね、「リライト」で(心の中で)叫ぶ。ここ数年の定番の流れである「リライト」から続けざまの「Easter / 復活祭」、イントロで空気が変わる「ソラニン」、祝祭感が広がる「今を生きて」、若者への希望を訴える「ボーイズ & ガールズ」と本編全8曲、コロナ禍真っ只中のフェスのトリという役目を150%で全うする演奏だった。

 センターエリア前の柵付近でライブを観ていたからこそアジカンの演奏だけでなく、自分の前にいる観客の1曲1曲の反応に圧倒された。個人的には「ループ&ループ」でのジャンプや「リライト」で手が挙がる瞬間などに何とも言えない感動を覚えた。
 均一的ないかにも日本風な盛り上がり方、と言われればそうかもしれないし、全員が同じ動きをしている日本のフェス風景に疑問を覚えたことも何度かあるが、それでも今このご時世にフェスという空間で、観客が音楽で楽しんでいる様子はやはりグッとくるものがあった。
 アンコールは「君という花」。

 いつもの「ラッセーラッセー」は当然なかったが、場内の盛り上がりは相当なものだった。
 後藤は事前にnoteでこの時期のフェス出演に対する苦悩を綴るなど、常に自身の行動についての言語化を試みていた。

 フェスに出演することがある種の「悪事」に加担した、と揶揄されるかもしれない時代、アジカンに限らずフェスに出演することに対してアーティストそれぞれが覚悟をしていたのだろう。
 だからこそこの日のアジカンの「君という花」の演奏はどこか今までとは違うエネルギーに突き動かされたように力強く響いていた。
 また一つアジカンが好きになった。

セットリスト

1.ダイアローグ
2.荒野を歩け
3.ループ & ループ
4.リライト
5.Easter / 復活祭
6.ソラニン
7.今を生きて
8.ボーイズ & ガールズ

9.君という花

内訳

・10th Album『プラネットフォークス』1曲。
・9th Album『ホームタウン』2曲。
・8th Album『Wonder Future』1曲。
・6th Album『マジックディスク』1曲。
・2nd Album『ソルファ』2曲。
・1st Album『君繋ファイブエム』1曲。
・2nd Special Album『フィードバックファイル 2』1曲。

※2022年2月12日修正。

まとめ 

 ASIAN KUNG-FU GENERATIONのアンコール時の後藤のMCに「音楽のある幸せな場所でまた会いましょう」という言葉があった。
 本当に切実にそれを願うし、だからこそこの日のフェスはそのための大きな第一歩になったと思う。
 ただ一つだけ。SKY STAGEから帰るとき、当然規制退場になるのだが、その出入り口付近は結構密だなあと思った。これはいくら人数を制限しようが限界があるのかもしれないが。
 ともあれ2021年春にフェスが開催できたことが夏以降の様々な活動にポジティブな影響がありますように。
 帰りの電車に座ったときに感じた疲れが妙に心地よかった。
 電車に揺られながらまたこの疲れを感じたい。

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