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【けんじぇる日記】凄さよりも立派さ
しんしんと、降りしきる雨の中。 雨宿りと一日買い物で歩きまわった疲れを癒しに。雑居ビルの二階、廊下の奥にまつ喫茶店の扉を開けた。
何度目かと訪れたこのお店は、近ければ必ず常連となる落ち着きがある。席もカウンターがちょこちょこ、テーブルは二席。穏やかな音楽が流れ、自然と眠りにさそわれる。
手回し式の焙煎機で少しずつ作っているから、コーヒーもこだわりが詰まってる。いつもなら、「グァテマラでネルドリップでお願いします!」なーんて、すまして言うもんだけど。今日はクリームソーダを頼んでみた。
インスタ映えのする飲みものだから、人気だ。色は四色か、それぞれ味も違うし、何より上にのったアイスクリームがうまいのなんのって。
僕はこういう時、人と違うことをしたがる天邪鬼だから、どうにもこういう人気そうなものは選ばない。「だったら俺はこーするし!」と謎に心のなかでごねたりするのだ。大人気ない。
そう考えてみると、僕の最近の考えも同じようなものだった。なんだかすごい人ばかりが取り上げられることに違和感を覚えていた。あの人はあれして、これして、あんなにスゴイんだぞ!というのは、必ずだれかとの比較がある。"凄さ"とは、いつも誰かとの比較でしか生まれない。
そんな"凄さ"の言い合いに、時に羨ましく、時に悲しく、時に大きな疲労感をもっていた。
でも、ステキなことを教えてもらったのだ。"凄さ"ではなく、"立派さ"なら…だれとも比較せずに、ただ自分のありようだけで判断できるのだと。
道端で学校へむかう子どもにあいさつするおじさんは立派だ。誰に頼まれたわけでもない、地元のおばあちゃんが、神社の落ち葉を集めているのも立派だ。その二人には優劣がない。どちらも立派で、素晴らしい。
「なんだ…そっちの方がいいじゃない!そう考えよう!」と最近は比較しようとするたびに、自分に言いつけている。そうして今日も心の中でごねているのだ。
凄さもいいが、今日も僕は昨日より"少し立派な僕"でいたい。
それにしてもあのクリームソーダは美味しかったなぁ。
#コラム #日記 #エッセイ #働き方 #考え方 #くらし #喫茶店
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