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3年ぶりの東京|issue 1 マツさんとのインタビュー

AND TOKYO ZINE・リトルプレスにおける最初のゲストであり、記念すべき創刊号 #issue 1 を飾ったマツさん。コロナによる3年を経た後、休暇を利用してとうとう東京にまた戻ってきた。僕たちは腰を下ろし、人生における進展について、そしてまた久しぶりにこうして東京にいるのはどのような気持ちか、ひとしきり語り合った。


▼ENG version here

ドイツに戻ってからのこと|Return to Germany

AND TOKYO パット:
マツが前回日本にいた時から、この3年の間に何が変わった? 

マツさん:
ドイツに戻ってすぐ、あるいは僕がまだここ(東京)にいる間かな、 Vodafoneという会社とフリーの案件があったんだ。基本的には、僕が赤い建物を探してロケハンしたり、赤を基調として写真を編集したりすることで、彼らのSNSコンテンツを提供したんだ。あとは少し動画や、撮影の案件もあったかな。全部フリーランスとしてだったし、大きな都市には住んでなかったから、とりたてるほどじゃないけど。

その後はフルタイムの仕事に応募して、EC案件に終わりを告げた。これが、今も続けていること。2019年からだからもう4年になるね。ECの撮影について、特に面白いことはなかったから言うこともないけど。もうちょっとやりがいのあるSNSの仕事もあったし、僕の写真の1枚はVogue(雑誌)にも掲載されたけどただの広告。だから、面白いけど超楽しいって感じではなかった。

それから1年半後、自分にできると思えたことがある種の限界に達して、会社も僕に他のポジション以外には提供できるものがなくなって。だからそこを辞めて、アートディレクターの仕事に応募してみた。それが、今も働いてるadidasの案件。現状としては、コンテンツの付加価値や追加コンテンツといった内容のディレクターをやってるよ。

だから今は、フォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイクとチームでやってる。基本は、僕の描くイメージをチーム全体に伝えたり、モデルにすべきことを伝えたり、時々はポーズを説明するためにセットの上で踊ったり、とか。今やってるのはそんな感じかな。

3年ぶりの東京|Tokyo after 3 years

P: 3年経ってやっと東京に戻って来れたってこと、僕が言うまで気がつかなかったよね。どんな気持ち?

M: いい感じだよ、でもちょっと不思議。この1週間、写真関連でやりたかったことや、作りたかったコネクションとかは、実際あんまり。代わりにたくさん歩き回ったし、もちろん、覚えてることもたくさんあるしね。以前と変わらないこともたくさんあった。でも、そこにあったはずの建物がなくなっていたのには違和感があったし、解体作業は悲しかった。実は、解体予定の建物のうちの1つは、ちょっとした本として僕がプロジェクトをしようと思っていたものだったんだ。

というのも、ここでは、すべてが多かれ少なかれ同じ。僕にとって、とある時から「今、何かが起こらないといけない」というプレッシャーを感じるようになって、どう感じていいのか分からなくなったんだ。例えば、誰か知人に会う必要がある。あるいは、今仕事を探さないといけないとか。だから半々って感じかな。ここにいられて嬉しいけど、実際にいられてる。今年正式に年を取るから、あまり悠長なことは言ってられないけど。

これからのこと|From now

M: 東京にまた戻りたいという気持ちもある。けど、多分フリーとしてここに戻って来るのは難しいから、何か安定した仕事を見つけないといけない。または、そうだね、多分誰かドイツ語を習いたい人がいれば.. あとは、多分1万円ぐらいだったら、撮影の仕事はある。プレッシャーは少しあるかな。

世田谷区と目黒区の境目で

東京に戻ってきて感じたこと | Return to Tokyo

P: 僕が空港に迎えに行って一緒に電車に乗った時、飛び跳ねて(車窓から)辺りをぐるっと見ている姿を見れて良かったよ。東京に来るのが初めての人は大体そんな感じで、あとは「わお、デカい街!ブレードランナーみたい!」だよね? でもマツみたいな感じだと、もっとこう、「あ、ここ覚えてるわ。」みたいな。ドイツにいる時、建築の撮影あまりしてなかったよね。そういうのはかなり久しぶりというか。だから最初の電車で、あるいは最初の日に、何か感じるものはあった?それか、今抱えてるプレッシャーにつながるものはあった?

かつての場所をまた目にすることが出来ただけで、過去が思い出されるんだ。僕がまだやりたかったことも。

M: 最初は匂いだったな。大事なこと。空気か電車か、ただ匂いが違うんだ。あと、ただ窓から外を眺めていることや、自分の居場所を理解するということ。例えば、右を見れば、この建物があって。ここには4年前に行って、またはこのビルに行きたかったけどしなかったなとか、たくさんのことが戻って来るんだ。

M:ある意味では、僕が立ち去った場所。前回、僕は去らなければならなかった。ドイツに戻ることは僕の決断じゃなかった。それ以来、何かやり残したことがあるような気がしてるんだ。だから、これらの場所をもう一度目にしただけで思い出すことが出来たんだ。過去のこと、そして、僕がまだやりたいことについて。

変化について|Changes

P:東京は大きく変わった?

M:新宿とか渋谷みたいな大きな駅はすごく変わったな、たとえば入口や出口の場所が変わったり、以前は繋がっていなかった場所が繋がってたり。ちょっと混乱した。でもそれ以外はほとんど全てが前と同じに感じる。というのは、そうだね、コロナによって接触が少なく済むようになった、あるいは機械と対処しなければならないようにはなった。例えばコンビニとかね。でもそれはどこでも同じ。だから「わお、東京はすごく変わったね」には含まれないと思う。ただ、多くの建物が変わった。東京のような大都市にとっては普通のこと。だけど道を歩いている人々を見ると、前と同じように感じるんだ。

P: マスクについてはどう?

M: 僕にとっては大丈夫、ドイツでも着けてたからね。ドイツでは実際にまだマスクを着けてるんだ、ヨーロッパで他に着けてる人は誰もいなくとも。僕はどちらでも大丈夫だけど、着けている方が好きかな。外だと外気の中を歩くからちょっと違うし、たくさんの人が周りにいるわけではないから、アレルギーとかがない限り、着けたくなかったらつける必要は多分ないかもしれない。でも、とりあえず僕はマスクで大丈夫。

未来について|Future

P: 実はこの質問、前回2020年にも聞いたんだ。だからこれは2023年バージョンなんだけど、将来描いている希望はある?

M: プレッシャーがなくなることかな。ここにいる限られた時間に、なんとかつながりを作れたらって。東京で個展を開く機会をまだ探しているからね。あとは撮影関連、可能性としてはECの撮影といった仕事探しを手伝ってくれるかもしれない人も見つけたい。そうしたら、ずっといられるからさ。

中目黒アトラスタワー前

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マツさんのインスタ|Matthias's instagram


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