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映画「銀河鉄道の父」

まだぼーっとしています。
泣きすぎました。
役所広司さんと菅田将暉さんの、演技ということすら感じさせない存在感にやられました。

涙の壷にまだ八割方涙が溜まっていて、どうかするとまたあふれそうになります。

あの場面のあのタイミングであのセリフは、泣くなと言う方が無理です。


宮沢賢治。

今でこそ、世界中で愛されている作家はしかし、生前は無名のまま、三十七歳の若さで亡くなりました。

その作品が知られるようになったのは、ひとえに、家族がその才能を信じ続け、遺稿を出版社に売り込み続けたからなのです。

するどい感性を持ち、人一倍優しかった賢治は、誰かの役に立ちたい、でも、どうすれば役に立てるのか、自分には何ができるのかということを悩み抜いた人生でした。

そして、やっとこれというものがみつかった矢先に、彼の妹が命を落とすことになった同じ病に倒れたのです。

魂だけで生き続けられたらどんなにいいだろう。

肉体があるばかりに、その機能が失われることで、少なくとも、この世では、肉体という器なしに、魂だけで存在しつづけることができないのが悔しい。もったいない。
そう思わずにはいられません。

自分の子どもを二人も結核によって亡くしてしまうことになった夫婦の辛さは、想像することすら私には難しいです。賢治が遺した物語を読み、世に送り続けることで、自分たちの心を支えてきたのだろうなあと思います。
その父が、亡くなった二人の子どもに対して持っている気持ちは、感謝でした。

弱いようで強い。こんな揺るがない強い愛と絆で結ばれた家族は、なんて素晴らしいのだろうと心から思います。

生きて行くことはほぼ苦しいことでできています。
でも、自分をどこまでも肯定してくれるこんな家族に囲まれていれば、きっと生き抜くことができます。そういう存在に、自分も少しでも近づきたいと思いました。

「きっと家族に、会いたくなる」
この映画のキャッチフレーズが胸に響きます。


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