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絵本「ふしぎなともだち」

自閉症のやっくんと、小学二年生のときにやっくんの住んでいる島に引っ越してきたゆうすけくんとの友情物語です。

くもん出版

やっくんは、自閉症があるために、言葉で自分の感情をうまく伝えることができません。
自分を落ち着かせるために、所かまわず、大声で何度も同じ言葉を繰り返します。

逆に、他人から大声や乱暴なことばや無理矢理なことをされると、どうしていいかわからなくなって、暴れ出してしまいます。

そのことを知っているクラスメイトたちは、みんなでやっくんのことを守ります。始めは少し戸惑っていたゆうすけくんも。

そして大人になったふたりは、島でそれぞれの仕事につきます。

ある日、仕事で失敗したゆうすけくんがどなりつけられて、思わず泣きながら外に飛び出します。

そこに、いつのまにか来ていたやっくんが、ゆうすけくんをうしろから抱きしめて、叫びます。

「おおた ゆうすけくん はい おしまい。
おおた ゆうすけくん はい おしまい」

やっくんのことば

時々太字で登場するやっくんのことばは、切実さと誠実さの両方で読み手の心に迫ってきます。

やっくんのことをよく知らない人には、簡単には伝わらない言葉だから、やっくんにとってみれば、とても切実な問題です。
でも、やっくんのことをよく知っているゆうすけくんみたいな人にとっては、その優しさが心に染みこんでくるのです。

ことばで はなしが できないのに、
心が わかりあえる。
やっくんは ぼくの ふしぎな ともだちだ。

ゆうすけくんのことば



ちなみに、この絵本の作者の田島征彦さんは、田島征三さんの双子の兄です。ご兄弟で絵本作家でいらっしゃることは、この絵本を読むまで知りませんでした。

偶然にも、先日、田島征三さん作の絵本
「ぼくのこえがきこえますか」
を紹介したばかりです。
こちらもぜひ読んでいただけると嬉しいです。

田島征三さんの絵は、痛みを覚えるほど感情が真っ直ぐ心に突き刺さる印象でした。
田島征彦さんの絵は、穏やかさで登場人物の感情をじっくり心に染みこませる印象です。

ご兄弟で個性も違って、どちらもとても感情を動かされる作品です。




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