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「好きじゃない自分」から卒業したい

第4回 「婚活」をやめたアラフォー女性のインサイト


and Insight株式会社 戦略インサイトリサーチャー® 窪谷衣里子

今回の「Insight」

私は何年も頑張ってきた婚活を止めることを決めた。
『もう好きじゃない自分を見たくない』
 
  私は自分で相手を選びたい。
  自分の意思でパートナーを決めたい。
  それなのに選べる状況にすらならない。
  こんな状況を選択してきてしまった自分への怒り。
  私を理解してくれない周りへの苛立ち。
  そんな苛立ちを抱えながらも
  「選ばれよう」と作り笑いをする
  そんな自分は好きじゃない。

調査レポート

春。卒業、そして入学シーズンですね。
今までの環境から文字通り”卒業”され新しい道に進まれた方、何かの行動から”卒業”しようと思っている方、何となく春は自分自身について考え直す時期になるのではないでしょうか。
今回は「婚活から卒業した女性」をテーマに、なぜ彼女たちが婚活を止めるに至ったのかレポートをまとめたいと思います。

【調査概要】
調査目的:婚活を止めた30代・40代女性のインサイトは何か?
調査時期:2024年2月
調査手法:1x1 デプスインタビュー
対象者:半年以上の婚活を行った経験のある 37歳・39歳・43歳女性(N=3)

1.現代の婚活事情

・2022年の婚姻者のうち、婚活サービスを通じて結婚した人の割合は15.4%となっており、その内訳ではネット系婚活サ ービスを通じて結婚した割合が最も高かった。
・2022年の婚姻者のうち、婚活サービスを利用していた人は32.7%。その婚活サービス利用者のうち、婚活サービスを通じて結婚した人の割合は47.0%で、利用者の約2人に1人が結婚に至っていた。

出典「婚活実態調査2023(リクルートブライダル総研調べ)

2023年のレポートによると2022年の婚姻者のうち、婚活サービスを通じて結婚した人の割合は15.4%。婚活サービス自体を利用した人は約32%と3割が利用している状況です。
なお、5年前(2017年調査 2018年レポート)の調査によると婚活サービスを通じて結婚した人は10.4%。婚活サービスを通じて結婚した人の割合は5年で5%も伸びる結果となっています。
婚活サービスでの出会いが1つの出会いの方法として確立されている今、婚活を経験した後に「その活動をやめた」という女性はどのようなインサイトを持つのでしょうか。

2.WHO-婚活に力を入れていた女性像

自分の人生に妥協したくなく、既婚者の友人から「結婚をしたいなら妥協も必要」だと言われるが納得できない。仕事も、自分の人生もあきらめたくないと思っている女性が多そうです。
そして、過去の恋愛において心に傷を持ちつつも(例:相手の家族の反対により破談など)過去に素敵な恋愛もした経験がある方でした。
過去の経験から、恋愛への怖さを抱えながら、その怖さを超えて、あのころのような素敵なパートナーを見つけようと婚活に力を入れている姿が見えました。

3.婚活を始めるきっかけ

20代前半の頃の恋愛は結婚を特に考えず、「まるで少女漫画に出てくるような素敵な相手」に出会い、恋愛をとても楽しんでいたようです。
(こうして、素敵な人と恋愛をして結ばれることへの甘美な思いが、のちの婚活に色濃く影響しているようです)
20代半ばを過ぎていくと、周囲の友人は気づけば結婚し始めて、子供を産んだ様子を見ていると、家庭を切り盛りしている友人が「大人」に感じられて、自分は一人前の社会人になれていないのではないか…と周りの目が気になり始め、結婚しなければと思い始めることが婚活のきっかけ。
まずは職場や友人を見渡してもみても、思うような出会いの機会が訪れずにいた中で、広告や独身の友人から聞いた「婚活パーティ」や「異業種交流会」の存在を知り、出会いのひとつの場として婚活に力をいれるようになります。

4.婚活をしている時の気持ち

婚活パーティーに始まり、マッチングアプリ、結婚相談所に通うなど複数の婚活スキームを駆使する日々が始まります。

でも、週に10人会っても、毎週末婚活パーティーに行っても自分が求める人は見当たらない。
あの時の彼のような、楽しい恋愛ができそうな相手はいないのか・・・?
友人と一緒に婚活パーティーの後は「何様?」ってかんじだけど、参加した男性たちの悪口ばかりになってしまう。
何より一緒にいる友人には「婚活のために、頑張る自分」を見られたくないと思うのは、きっと自分が「選ばれよう」と男性たちの前で媚びを売っているように感じてしまうから。
最初は、友人同士で遊び感覚を持ちつつ行っていた婚活パーティーも、回数を重ねるごとに、段々と真剣度合いが増していくと一人で行くように。
もしかしたら、次のパーティーで素敵な人に出会えるかもしれない、と思うと自分だけの大切な機会として独占しておきたい気持ちも芽生えてきて・・・。
婚活パーティーに行っても、マッチングアプリで何人も会っても、結婚相談所に登録して会っても、結果は同じ。
次こそは、と期待して行ってみても期待外れの繰り返し、理想を追い続ける日々。
「私に会った人は、私のことを好きになってくれるみたい。」
そう、私は決してモテないわけはないではないけど、どうしても妥協できない。20代の元カレのようないい人はどこかにいるはず。
これだけたくさんの人に出会っていればいつか必ず出会えるはず。

そう信じ、いつのまにか「多くの人と会うこと」が目的になっていくのです。

5.婚活をやめた理由

多くの人と出会うことで、多くの男性からこの人!と思う相手を私が見極めて選ぶはずだったけど、婚活を重ねていくつに連れて、多くの人と出会いながらも段々と選ばれてなくなっていることに気が付きます。

これまでの経験上、会って話せば、相手は私のことを選んでくれる人だったのに、いつの間にか、会話に至る前にすでに選ばれなくなってきている。
それはきっと年齢の要素が大きいこともわかっているのだけど、それはどうしようもない・・・・
気づけば、私の婚活は「自分が選ぶこと」ではなく「自分が選ばれること・選んでもらうこと」に必死。
選んでもらうために、無理して・つくった自分を演じていると、どんどん卑屈になっている、そんな自分は好きじゃない。私じゃない。
そうしても、選ばれない自分が、もっと好きじゃない。

6.まとめ

過去に素敵な恋愛もして、結婚に至る可能性もあった彼女たち。
理想のパートナー像が膨らむほど、相手に求める物は大きく、会えば会う程もっと良い人がいるのでは・・・と思い次に対する期待が止められなくなって、どんどん婚活にはまっていきます。
婚活中の気持ちをイメージする画像を選んでもらうと「広い海」「晩秋」「冬」。海のように水平線の先にある結婚に希望を持ちながらも、出会えないプレッシャーから秋や冬といった心が枯れゆくさまを語ってくれました。

婚活をお休みしたときのイメージは「新緑」「花畑」「穏やかな海」。
選ばれないことが続き、選ばれようと必死に取り繕う自分自身に心が疲れ、休むことを決断できたことで気持ちが穏やかに、明るくなる様子が現れています。 

婚活を通じ自分の見たくない感情にも向き合い、苦しんだからこそ、新たに自分が好きな仕事や、自分が心地よくいられる場所や時間を充実させようと模索している彼女たちは、婚活を卒業することで「好きな自分自身」に戻ろうとしているようです。
女性の1つの生き方として印象に残るインタビューになりました。


インサイト「好きじゃない自分」から卒業したい

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