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あの日、映画と。あるいは本と

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記事一覧

57. 読書日記 くまとわたしの恋のゆくえ 『神様』川上弘美

神様  川上弘美といえば、『神様』が真っ先に頭に浮かぶ。  次に『蛇を踏む』『センセイの…

50. デュラスの映像のなかにいる熱風のような愛の時間に 書評

 マルグリットデュラス。とても刺激的な読書体験だった。モデラートは、クラシック音楽などに…

47. 江國香織さんの魅力は香りの空気を纏うように、物語を織ってゆく

 コロナ禍の2020年、「7日間ブックカバーチャレンジ」がSNSで流行しました。これは「読書文化…

43. 海外文学から。ブローティガンの「愛のゆくえ」「東京日記」 ミラン・クンデラの…

 リチャード・ブローティガン(1935年ワシントン州タコマに誕生)を知ったのは、村上春樹と松…

31.森瑶子さんの本

 わたしの読書経歴を紐解くうえで、森瑶子さんは、やはり外せない作家です。「情事」は、…

29.フジコヘミング昼下がりのコンチェルトin 滋賀県立びわ湖ホール

琵琶湖のほとりを歩く その日は、今日のように、冬の太陽が、地上のものたちを抱きし…

26.「愛と同じくらい孤独」フランソワーズ・サガン(少女時代の読書)

フランスワーズ・サガンは、18歳の時、処女作「悲しみよこんにちは」でデビュー。一躍、女流作家となったことは皆、知るところだと思うが。私がそれを読んだのは、中学1年の頃だと記憶している。 私はベッドいっぱいにさしこんでいる、斜めの暑い太陽の光で目をさまし、コーヒーのカップとオレンジを持って、のんびりと、階段に腰を下ろして朝の楽しみにとりかかった。オレンジに齧りつく。続いて、やけどしそうに熱いブラックコーヒーをすぐ一口、それからまた果物の新鮮さを、交互に……。 というような文

24. 自由への扉を自分の力で開いていく人。映画「TOVE/トーベ」を鑑賞。

忘れないうちに映画のことを記録しようと思う。 先週、トーベ・ヤンソンの若い頃に光をあてた…

23. ふたつの「ドライブ・マイ・カー」に触れられた喜びを語る

その晩、遅くまで原稿書きをしていて、朝にどうにか提出を済ませ、谷町九丁目(大阪市)に打ち…

19. 一編の短編と秋のひんやりした空気がおいしいという話

秋は、空気がひんやりしているうえ、流れてくる香りがとてもよくて、それだけで幸せになる。 …