ホントにあった〇〇|大家さんが経営に口出しする飲食店
開業して1年たらず、予約2ヶ月待ちの大繁盛店が突如閉店に追い込まれたホントにあった出来事です。
|仲介不動産屋さんを通さず直接契約
知り合いが所有する築50年弱の古民家で[リトリート]をコンセプトにしたカフェの話です。
仲の良かった大家さんと開業者どうしで主に口約束で賃貸条件を話し合い最後まで不動産屋さんを仲介に挟まず賃貸借契約を交わしました。
契約書は大家さんの知り合いに弁護士の方がいて、一般的な賃貸借契約書のひな型をもとに作成され、重要事項説明書は作成しませんでした。
トラブルのキッカケは[仲介業者を挟まない賃貸借契約]だったと思います。
|地域の名士、代々受け継いだ家
北海道開拓の頃から代々周辺の土地を所有する地主さん。
その大家さんが生まれ育った家が今回の物件。
10年前、同じ敷地に新築し、いまはそちらに住んでいて、元居た家は空き家状態が続いていました。
公に賃貸募集はしておらず、もし気に入った人がいたら貸すという形をとっており、年に数人が申し込むが契約までには至らない状態が続いていました。
もともと仲が良かった大家さんと開業者、リトリートのコンセプトに共感を得たそうで、トントン拍子にテナント契約となりました。
|図面と現物は全然違う
家を店舗にするにあたり、大家さんが新築時の図面をもっていたため、それをもとに構造を確認します。
すると随所で図面より細い部材を使用していたり、継ぎ接ぎだらけの梁がいくつも出てきました。
当時の建築基準に照らし合わせても不適格な建築物でした。
住居として細かく区切られた部屋を広いスペースにするため柱を抜いてスペースを確保します。
厨房機器など住居の基準以上の負荷がかかるところも補強します。
それ以上に大変だったのは構造の欠陥。
見てしまった以上は、単なる補強だけでなく本来あるべき状態に50年ぶりに戻します。
解体するまでわからないことだったため、お客様へ説明して一部変更をしながら工事は無事完了しました。
住居から飲食店へブラッシュアップ完了です。
建物の寿命も延びる工事ができ、弊社としても満足できる仕事になりました。
|営業開始後、事業に口を挟む大家さん
オープンから客入りは好調で、ランチのみの営業で平均客単価が4000円前後、連日繁盛しすぐに軌道にのりました。
10年以上空き家だった場所に賑わいができ、当初は大家さんもお客様として利用されていたようです。
数か月後、弊社に連絡をいただきました。
世間話のような、、、深刻な問題のような、、、
内容は
「大家さんからメニューの口出しがひどくて、、、」
「最初からいってたのに、夜の営業はさせないとか、、、」
「アルコールを出したら追い出す、、、」
「私(大家さん)のいう通りにすれば間違いないからって、、、」
|モメにモメて事業継続を断念
SNS上では
予約2ヶ月待ち、待ってでもいきたいお店!
北海道発!
今絶対いくべきお店!
など、表向きは大繁盛店でした。
しかし、結局は大家さんとモメにモメて決裂。
1年たらずで事業継続を断念、融資残債がほぼほぼ残っていて移転もできませんでした。
設計・施工の立ち場でこのようなトラブルはフォローが難しく、残念でなりません。
伝説的な繁盛店が、文字通り伝説になってしまいました。
仲介する不動産屋さんは大切
お客様から『大家さんと直接契約するから仲介手数料が浮いてラッキー』という仲介手数料にネガティブな言葉をたまに聞きます。
しかし不動産屋さん(良い仕事をする不動産屋さん)が媒介をすることは契約期間のあらゆる事象を想定します。
そして対処の約束事を契約書と重要事項説明書に明記します。
貸す側と、借りる側の双方がスムーズに過ごす一時金だと思うとポジティブな出費と考えてもいいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。